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開運印鑑の傷跡

久しぶりに開運印鑑の話で、今回は復習編です。

そもそも開運印鑑というのはごく最近出てきた名前で以前は印相印と呼ばれていました。

以前といっても古来からのものではありませんので、昭和40年代の事です。

 (それ以前に開運印鑑はありませんでした)

当時は開運という前向きな言葉ではなく、「あなたのハンコは凶印ですよ」とハンコに無知な消費者様の不安を煽り

印相体という書体を新しく作って販売されていたのです。

そのハンコを印相印といい、印相印を販売する業者は印相屋と呼ばれていました。

今でもコテコテの印相屋さんは健在のようですが、大部分の印相屋さんは「印相体はハンコに適したいい書体です」 

「開運印鑑で幸せを」 など方針を変更して商売をしております。

「開運印鑑で幸せになるのは買ったお客様ではなく、売ったハンコ屋だ」 というのは、印章業界ではよく語られる笑い話です。

「でも私、開運印鑑を買ってから本当にいい事ばかりなんです」という方。

その様な経験をお持ちの方は、是非こちら→開運印鑑Q&A をお読み下さい。

さて、前置きが長くなりましたが、昭和40年代初頭に突如現れた開運印鑑は印章文化を激変させてしまいました。

今の印章業界に大きな傷跡を残しております。

一番の傷は何と言っても印相体です。

「え~ また印相体の話?」という方も居ると思いますので、今回印相体はひとまず置いておいて、他の傷についての話をします。

印相体 吉相体 上下のしるし

これは再登場となりますが、東京印章協同組合が昭和47年に発行した印章カタログで、このページは個人の実印を

紹介するページです。 (個人の実印紹介ページはこのページのみです)

印材を見てみて下さい。

スキャンした画像ですので、少々荒れておりますが、拡大したのが下の画像です。

印相体 吉相体 上下のしるし

今、巷で販売されている印材と大きく異なる点がいくつかありますが、目立つのは上下のしるしだと思います。

組合以外の今のカタログをブログに掲載する事は出来ませんが、どのカタログを見ても一様に上下のしるしはありません。

「上下のしるしって無い方がいいんですよね?」という話、たまに聞きませんか?

これは開運印鑑商法のセールストークから広まった話って知っていましたか?

そのセールストークには二つあります。

① 一つはコテコテの印相屋さんがいう言葉で「ハンコは自分の体だから傷を付けるのは良くない」という話です。

時として捺印は自分の意志、約束事の証明(契約)として自分に変わって重要な役割を果たすので大変重要な物ですが

御神体の様な言い伝えはありません。

上下のしるしが良くないものでしたら、印章協同組合の見本がよりによって全てしるし付きの見本にする訳ありませんよね。

「いっ・・・印章協同組合は秘伝を知らないだけなんだ・・・」 とか言われてしまいそうですが、そんな苦し紛れの屁理屈は

笑ってスルーしましょう。

第一、上下のしるしと傷は全く別物です。

しるしを傷と表現する悪意を考えれば、この話はデタラメという事がわかりますよね。

次にこれは印章業界関係者でも開運印鑑が発祥だと知らない人も多い話です。

② 「重要な書類に捺すハンコは印面を確かめて捺す為に上下のしるしは無い方がいい」 という話です。

これは、重要な書類に捺印する時は、しるしを頼りに気軽に捺すのではなく、印面をしっかり見て上下のしるしを

確認し、一息ついて捺印する。

その一息ついている時に、「この書類に本当に捺していいのか?」と考える余裕が生まれるという話です。

一見、「なるほど~」と思ってしまいそうな理屈ですが、これはよく考えればおかしな話です。

というのは・・・

重要な書類に捺印するという事は、ハンコに上下のしるしがあろうが無かろうが、事前にきちんと考えて捺すものです。

しかも、「捺印」というのはあくまでも作業であって、その目的は契約の締結です。 (契約書に例えた場合)

そんな大切な書類に捺印するのに、わざと不便な印章を用いて一息付くのでしょうか?

大切な契約締結時にハンコを見て「え~っと上はどっちだったっけかな?」と考えながら一息つけろというのでしょうか。

逆さまに捺しちゃっても印鑑が間違いでなければ契約は有効かも知れませんが、逆さまの捺印はどう考えてもおかしいので

きちんと捺す為にも印面に神経を集中させる必要があります。

書類の重要性を考えるのは二の次になってしまいますよね。

重要な書類であればあるほど捺印はスムーズに行うべきです。

第一、その様な慣習が仮に正統なものであるなら、印章協同組合のカタログが全て上下のしるし有りというのは不自然な事です。

ここで誤解しないでいただきたい事は、上下のしるし無しはいけないのか?という事です。

上下のしるしの無い印鑑(印章)は開運印鑑が登場する前から存在しましたし、象嵌(ぞうがん)印材はほとんどしるしが

ありませんので、使用するご本人様が納得していれば問題ないものです。

「じゃ~結局どっちを選べばいいんですか?」というお客様へ。

私としてはまず上下のしるし有りのものをお勧めします。

削るしるし(凹型になるしるし)は「当たり」「さぐり」「指型」などと呼ばれ、金属を埋めるしるしは「丹」(たん)と呼ばれます。

「でも・・・今はほとんどしるし無しが一般的らしいから・・・」とお迷いの方は「上の①②の話は印相屋さんがテキトーに考えた話」

という事を踏まえていればしるし無しでも問題ありません。

ではなぜ開運印鑑は上下のしるしが無いのでしょうか。

二つ理由があります。

一つは印材の作りやすさと彫刻のしやすさです。

印材はしるし無しの方が作成は簡単ですし、彫刻は上下のしるしが無ければズレを気にせず彫れるので手間が減ります。

もう一つがしるしを付けなくなった大きな理由です。

それは、「あなたの印は凶印です」と今使っているハンコ(昭和40年代当時はしるし有りが主流でした)を縁起の悪いハンコ

だと説明し、絶妙なセールストークで「上下のしるしはいけない」「太枠はいけない」「短いハンコは寸足らず」など言って

作り替えを促す為です。  

私の説明じゃ信じられないですか?

そんな人はこちらをご覧下さい →東京印章協同組合が作成した印相鑑定業者に注意というチラシ

凶相印などというものはデタラメという事がおわかりいただけましたでしょうか。

何故こんなにインチキがはびこるのでしょうか。

これも再登場ですが、信頼できる株式会社ゲンダイ出版さんの業界誌より (赤線は私が書きました)

印相体 業界誌 開運印鑑

どうです?

私の言葉では信じられないかも知れませんが、これは印章業界紙さんに書いてある事です。

「金というものは、取れる内に取る」

これ、わかりますか?

上に書きましたが「開運印鑑で幸せになるのは買ったお客様ではなく、売ったハンコ屋だ」 という話と共通すると思いませんか?


ブログ編集者






プロフィール

Author:三代目印章店主
古い手彫り印鑑の印影資料を中心に印相体撲滅に向けてマイペースで記事を書きます。

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