世界一への道のり(彫刻・捺印編)
3回続けて同じ話題ですみません。
(今回は写真中心となります)

作成は埼玉県比企郡小川町です。
自然豊かないいところでしたので、もっといい撮影スポットが沢山あったはずですが、今回は観光ではありませんので
車内からはこれと下の一枚のみの撮影です。

すぐ近くには長屋門があり、御朱印を彫る雰囲気にぴったりです。

彫刻作業は箭弓神社ではなく印材を作成した木工所さんです。
長閑な自然に囲まれたいいところでした。

印章の重さは何と420キロ、材質は埼玉県の県木である欅(けやき)。
とにかく大きい印材なので、世界一大きな印材を彫る喜びと、実際に押せるのか、きちんと印影は出るのかなど、
期待と不安が入り混じる中での作業でしたが、一たび作業に入ってしまえば目標に向かって走るのみ。
普段は挨拶のみの方も含め、8~9割の方とは面識がありましたが、初対面の方も「手彫り(印章)職人」
という共通点があり、まるで何年も前から知りあいだったかの様に自然と和が生まれました。

ギネス記録更新条件の一つは「現在使用している印章を忠実に再現したもの」という事で、図面をもとに忠実に作成された
印材です。

これぞ我々の本領を発揮する場所・印章の手彫りです。
写真だとこれで十分に見えるかも知れませんが、まだまだ彫る必要があります。

こんな感じで彫り進めていきます。

彫りの深さもギネスの規定に沿って厳密に計測される為、浅過ぎても深過ぎてもいけません。

そして、その日の作業が終わりましたら印材に油を塗ってヒビ割れを防ぎますが、誰もが未経験の事、
夕方と翌朝では印材の大きさが僅かに変わっているので、あらゆる可能性を想定して進めます。

写真は一度捺印したものですが、印材の膨らみや傷を入念に確認し、仕上げていきます。

神社でのお披露目や試しでローラーも使いましたが、基本は手で朱肉を塗り込みます。

420キロをとても人の手で持つ事は出来ないので、この様な機械で一旦持ちあげます。
そのままペタンと押せそうな雰囲気ですが、
・そのままだと機械が紙を踏んでしまう。 (紙は余白も含め印面より大きい為)
・微調整が必要な為 (きちんと押すにはアバウトではいけません)
簡単に説明しますと
①印面に朱を付ける (この時印面は天井を向いています)
↓
②上の機械で印面を下にして、一旦馬(二本の棒)の上に降ろす。 (仮置き)
↓
③別の機械(クレーン)で吊りあげる。
↓
④馬に降ろした際にとれてしまった部分の朱を下から塗り直しする。
↓
⑤クレーンで慎重に降ろして捺印
という手順です。

これ↑はちょうど②のところです。
左の二本の棒が印章を仮置きする馬です。
下は仮置きが済んだところですが、女性2名は呑気に記念写真を撮っているのではありません。
ギネス用に作業の様子は全工程常に動画で撮っており、写真も大量に撮影する必要があるからです。
呑気に記念写真を撮っているのは、この私ですね。


測量は内輪の人間ではなく、ギネス側が指定した業者さんで、全ての工程でギネス側の立会人さんが終始確認しております。

印章の中央(縦)と印面部分(横)に赤い線が入っておりますが、これはレーザー墨出し器によるものです。
1回捺印するのに最低1時間は掛かりますし、大量の朱肉も使うので捺印は厳密に且つ慎重に行いました。

印材だけで420キロありますが、均等の重さだけでなく、一辺ずつ力(重さ)を加えてより良い印影を出します。
「御朱印の上に乗るなんて不謹慎だ」 とお叱りをいただいてしまうかも知れませんが、まだ奉納前の印章ですので
問題ありません。(多分)
何度も試し押しを繰り返しましたが、一度に8人位乗って押した事もありました。

木目が美しいと思いませんか?
普通の印章ではこの様に木目が見える事はまずありません。
巨大印章ならではの木目ですね。
----------------------------------------------------------
さて、ところ変わってここからはお披露目当日です。
埼玉県東松山市(東松山駅至近) 箭弓稲荷神社です。

予想はされていましたが、続々と人が集まってきました。
写真からではわかりづらいですが、(中央の電柱の下) DJポリス用のボックス(?)↑も準備されています。

地元の人たちによる太鼓の演奏から始まり、女子高生による書道パフォーマンスです。
タイトルからして「パフォーマンス」でしたので期待はしておりませんでしたが、「現代アート風の善し悪しが不明な書」
ではなく、正統派の行書体、草書体で実に達筆で驚きました。

いよいよ我々の出番です。
(後ろ姿の写真は私ではありません。)

印面に朱を塗る光景は一つ前の記事に載せたので省略し、これは②の工程で馬に降ろす前です。
印面が観客側を向くと、どよめきが起き、自然と胸が高鳴ります。

これは工程④の後、印面にきちんと朱が付いているかの確認です。

いよいよ捺印です。
普通なら捺印もしてこそはんこ職人と言うはずですが、ここは重機の操作に慣れている専門家に任せます。

捺印成功です。
1回最低1時間は掛かる捺印(練習)を何度も繰り返した甲斐があり、今までにないスピードで最高の印影がとれました。

ギネス社の鑑定人さんの前で慎重に計測する測量士さん。
捺印が成功しても、サイズが忠実でなければ記録更新にはなりませんので、一同固唾を飲んで見守ります。

めでたくギネスの記録更新が認められました。
彫刻した木工所で立会人のもと計測してありましたが、事前に内定の様な知らせは無く、当日改めて計測し
この瞬間までギネス記録の更新が認められるかは誰もわかりませんでした。

喜びの瞬間です。

左から実行委員団長と箭弓稲荷神社宮司、ギネス鑑定人です。

これが原型の御朱印です。

ここで改めて。
(2つ前の記事と重複しますが)
私達「はんこ職人」35人(中原さんを含まず)は、この事業を計画・実施した実行委員さん達が「道なき道」を
開拓する車(比喩です)に乗せていただいたに過ぎません。
そして、この記事では私が偉そうに解説してしまいましたが、これは全て中原さん(埼玉県・中原印房さん)の描いた
シナリオを実行したに過ぎません。
この事業に参加する前までは、正直言いましてギネスにはあまり興味ありませんでした。
でも、この御朱印で考え方が全く変わりましたね。
何より 「本物の世界一の御朱印を彫らせていただいた感動」 が一番の要因です。
「彫った人にしかわからない感動」 「捺印した人にしかわからない感動」
これは「はんこ職人」のみならず、印材を作成した職人さん、クレーンで吊り上げた職人さん達も恐らく同様だと思います。
朱肉を提供してくれた朱肉メーカーさん(現地まで居らっしゃいました)や、気付けば取材のマスコミさんも朱肉をペタペタと
お手伝い(笑)
休憩時間には朱肉についての話や(普段の仕事の)手彫りの方法についての情報交換など・・・
この大きな御朱印で得られたものも非常に大きなものでした。
ギネス社から提示された条件は、それはそれは厳しいものだったそうです。
それを「世界一の御朱印を作る」という目標に向かって努力した実行委員さん達は、並大抵の苦労ではなかったはずです。
そんな中、お客様の様な待遇で我々を受け入れてくれた方々に心より感謝、御礼申し上げます。
感動し過ぎ?
いいじゃないですか~ 一生に一度あるか無いかの事なんですから。
★一部に漫画家ひのもとめぐる様撮影の写真を使用させていただきました(ご本人様からは承諾をいただいております)
★このブログに写真アップNGな関係者様が居らっしゃったら、お手数ですが個別にご連絡下さい。 (そっと削除します)
ブログ編集者
(今回は写真中心となります)

作成は埼玉県比企郡小川町です。
自然豊かないいところでしたので、もっといい撮影スポットが沢山あったはずですが、今回は観光ではありませんので
車内からはこれと下の一枚のみの撮影です。

すぐ近くには長屋門があり、御朱印を彫る雰囲気にぴったりです。

彫刻作業は箭弓神社ではなく印材を作成した木工所さんです。
長閑な自然に囲まれたいいところでした。

印章の重さは何と420キロ、材質は埼玉県の県木である欅(けやき)。
とにかく大きい印材なので、世界一大きな印材を彫る喜びと、実際に押せるのか、きちんと印影は出るのかなど、
期待と不安が入り混じる中での作業でしたが、一たび作業に入ってしまえば目標に向かって走るのみ。
普段は挨拶のみの方も含め、8~9割の方とは面識がありましたが、初対面の方も「手彫り(印章)職人」
という共通点があり、まるで何年も前から知りあいだったかの様に自然と和が生まれました。

ギネス記録更新条件の一つは「現在使用している印章を忠実に再現したもの」という事で、図面をもとに忠実に作成された
印材です。

これぞ我々の本領を発揮する場所・印章の手彫りです。
写真だとこれで十分に見えるかも知れませんが、まだまだ彫る必要があります。

こんな感じで彫り進めていきます。

彫りの深さもギネスの規定に沿って厳密に計測される為、浅過ぎても深過ぎてもいけません。

そして、その日の作業が終わりましたら印材に油を塗ってヒビ割れを防ぎますが、誰もが未経験の事、
夕方と翌朝では印材の大きさが僅かに変わっているので、あらゆる可能性を想定して進めます。

写真は一度捺印したものですが、印材の膨らみや傷を入念に確認し、仕上げていきます。

神社でのお披露目や試しでローラーも使いましたが、基本は手で朱肉を塗り込みます。

420キロをとても人の手で持つ事は出来ないので、この様な機械で一旦持ちあげます。
そのままペタンと押せそうな雰囲気ですが、
・そのままだと機械が紙を踏んでしまう。 (紙は余白も含め印面より大きい為)
・微調整が必要な為 (きちんと押すにはアバウトではいけません)
簡単に説明しますと
①印面に朱を付ける (この時印面は天井を向いています)
↓
②上の機械で印面を下にして、一旦馬(二本の棒)の上に降ろす。 (仮置き)
↓
③別の機械(クレーン)で吊りあげる。
↓
④馬に降ろした際にとれてしまった部分の朱を下から塗り直しする。
↓
⑤クレーンで慎重に降ろして捺印
という手順です。

これ↑はちょうど②のところです。
左の二本の棒が印章を仮置きする馬です。
下は仮置きが済んだところですが、女性2名は呑気に記念写真を撮っているのではありません。
ギネス用に作業の様子は全工程常に動画で撮っており、写真も大量に撮影する必要があるからです。
呑気に記念写真を撮っているのは、この私ですね。


測量は内輪の人間ではなく、ギネス側が指定した業者さんで、全ての工程でギネス側の立会人さんが終始確認しております。

印章の中央(縦)と印面部分(横)に赤い線が入っておりますが、これはレーザー墨出し器によるものです。
1回捺印するのに最低1時間は掛かりますし、大量の朱肉も使うので捺印は厳密に且つ慎重に行いました。

印材だけで420キロありますが、均等の重さだけでなく、一辺ずつ力(重さ)を加えてより良い印影を出します。
「御朱印の上に乗るなんて不謹慎だ」 とお叱りをいただいてしまうかも知れませんが、まだ奉納前の印章ですので
問題ありません。(多分)
何度も試し押しを繰り返しましたが、一度に8人位乗って押した事もありました。

木目が美しいと思いませんか?
普通の印章ではこの様に木目が見える事はまずありません。
巨大印章ならではの木目ですね。
----------------------------------------------------------
さて、ところ変わってここからはお披露目当日です。
埼玉県東松山市(東松山駅至近) 箭弓稲荷神社です。

予想はされていましたが、続々と人が集まってきました。
写真からではわかりづらいですが、(中央の電柱の下) DJポリス用のボックス(?)↑も準備されています。

地元の人たちによる太鼓の演奏から始まり、女子高生による書道パフォーマンスです。
タイトルからして「パフォーマンス」でしたので期待はしておりませんでしたが、「現代アート風の善し悪しが不明な書」
ではなく、正統派の行書体、草書体で実に達筆で驚きました。

いよいよ我々の出番です。
(後ろ姿の写真は私ではありません。)

印面に朱を塗る光景は一つ前の記事に載せたので省略し、これは②の工程で馬に降ろす前です。
印面が観客側を向くと、どよめきが起き、自然と胸が高鳴ります。

これは工程④の後、印面にきちんと朱が付いているかの確認です。

いよいよ捺印です。
普通なら捺印もしてこそはんこ職人と言うはずですが、ここは重機の操作に慣れている専門家に任せます。

捺印成功です。
1回最低1時間は掛かる捺印(練習)を何度も繰り返した甲斐があり、今までにないスピードで最高の印影がとれました。

ギネス社の鑑定人さんの前で慎重に計測する測量士さん。
捺印が成功しても、サイズが忠実でなければ記録更新にはなりませんので、一同固唾を飲んで見守ります。

めでたくギネスの記録更新が認められました。
彫刻した木工所で立会人のもと計測してありましたが、事前に内定の様な知らせは無く、当日改めて計測し
この瞬間までギネス記録の更新が認められるかは誰もわかりませんでした。

喜びの瞬間です。

左から実行委員団長と箭弓稲荷神社宮司、ギネス鑑定人です。

これが原型の御朱印です。

ここで改めて。
(2つ前の記事と重複しますが)
私達「はんこ職人」35人(中原さんを含まず)は、この事業を計画・実施した実行委員さん達が「道なき道」を
開拓する車(比喩です)に乗せていただいたに過ぎません。
そして、この記事では私が偉そうに解説してしまいましたが、これは全て中原さん(埼玉県・中原印房さん)の描いた
シナリオを実行したに過ぎません。
この事業に参加する前までは、正直言いましてギネスにはあまり興味ありませんでした。
でも、この御朱印で考え方が全く変わりましたね。
何より 「本物の世界一の御朱印を彫らせていただいた感動」 が一番の要因です。
「彫った人にしかわからない感動」 「捺印した人にしかわからない感動」
これは「はんこ職人」のみならず、印材を作成した職人さん、クレーンで吊り上げた職人さん達も恐らく同様だと思います。
朱肉を提供してくれた朱肉メーカーさん(現地まで居らっしゃいました)や、気付けば取材のマスコミさんも朱肉をペタペタと
お手伝い(笑)
休憩時間には朱肉についての話や(普段の仕事の)手彫りの方法についての情報交換など・・・
この大きな御朱印で得られたものも非常に大きなものでした。
ギネス社から提示された条件は、それはそれは厳しいものだったそうです。
それを「世界一の御朱印を作る」という目標に向かって努力した実行委員さん達は、並大抵の苦労ではなかったはずです。
そんな中、お客様の様な待遇で我々を受け入れてくれた方々に心より感謝、御礼申し上げます。
感動し過ぎ?
いいじゃないですか~ 一生に一度あるか無いかの事なんですから。
★一部に漫画家ひのもとめぐる様撮影の写真を使用させていただきました(ご本人様からは承諾をいただいております)
★このブログに写真アップNGな関係者様が居らっしゃったら、お手数ですが個別にご連絡下さい。 (そっと削除します)
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