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手彫り印鑑の見分け方 (機械彫り・手仕上げとの判別)

印章店主としての私見ですが

インターネット上で手彫り印鑑として販売されているハンコの
99.9%は手彫りされておりません。



こう↑書いても信じられないかも知れませんが、手彫り印鑑の購入を考えている方にとっては重要な問題です。

手彫りされている印鑑だと思って注文したら 「見ていないところで機械で彫られていた」 なんて事でしたら

たまったものではありませんよね。

ネットで「手彫り印鑑」と検索しますと膨大なお店が表示されます。

そんな中、「99.9%は…」という私の言葉はとても信じられないかも知れませんが、信じられないようでしたら

是非このページの説明をお読み下さい。

お目当てのお店にメールで問い合わせするだけで、そのお店が本当に手彫り印鑑を販売しているお店か、

確かめる方法をご紹介させていただきます。

前半は手彫りである事を証明できる工程写真で、後半はお問い合わせ方法とそのポイントです。

(参考  こうして手彫り印鑑風に偽装される → 2分で出来る手彫り印鑑の偽装  )

電話でもメールでも構いませんので、お目当てのお店に「手彫りしている途中の写真をいただけますか?」と

まずはお願いしてみましょう。

前半でどんな写真が必要なのかをご覧いただき、その上でお目当てのお店に問い合わせする方法(後半)をお読み下さい。

後半は文章だけですが、本当に手彫りされているかを確かめる上で大変重要な事が書いてあります。

手彫り印鑑をインターネットで注文する際は、是非お読み下さい。

必ず役に立つはずです。


では、実際のお客様からのご注文品を手彫りしている途中の写真をご覧下さい。

ブログ掲載をお許しいただいたご厚意に心から御礼申し上げます。

手彫り印鑑


印面に逆さ文字を手書きします。

但し、紙に書いた手書き文字を印面に転写する手法も手彫り印鑑の定義として正式に認められていますので、

当店でも転写する場合があります。

文字の一部が字割り線をはみ出しておりますが、隷書体は横に広がる文字ですので問題ありません。

手彫り印鑑

方法は人それぞれですので違った方法でも問題ありませんが、荒彫りは枠どりから始めるのが基本です。


手彫り印鑑

書から印へ変わりゆく途中です。

「逆さ文字を書く事が手彫りの醍醐味です」と上に書きましたが、こうして手仕事で荒彫りを進めていくのも

手彫りの醍醐味です。

印影が良ければ途中の工程は関係無いというのは大きな間違いです。(注 後述)

手彫り印鑑

上の写真と似ておりますが、荒彫りが進んで朱の部分が少なくなっているのがおわかりでしょうか。

手彫り印鑑

上の文字(写真向かって左側)は朱の部分が彫り終わり、文字がはっきりしてきましたね。

工程名は「荒彫り」というものの、丁寧に彫らなければいいハンコができません。

印面という小さなスペースの中で、いかに丁寧に彫るかが技量に現れます。

手彫り印鑑

「書から印へ」

仕上げ工程がまだですが、ようやく印章らしくなってきました。

手彫り印鑑

印面に墨を塗り直して凹凸がよく見えるようにさせてから仕上げます。

この工程全て揃ってこそ手彫り印鑑です。

「ハンコは印影(文字)が重要なんだよ」 と手彫りをしていない同業者から面と向かって言われた事もありましたが、

それは当然です。

文字に自信が無ければブログで公開したり致しません。


手彫り印鑑をインターネットで注文する時は、必ず彫刻途中の
写真撮影を依頼しましょう。



その理由は

このページのいちばん上の囲み枠に書いた通り、インターネット上の印鑑(印章)販売サイトで「手彫り印鑑」として

売られている印鑑の99.9%は実は手彫りなんてされていないからです。

(手彫りに見せ掛ける「手彫り風」加工がされている印鑑がほとんです)

だから彫っている途中の写真が重要なのです。

印鑑を彫刻機械にセットした写真で 「これが手彫りです」 だなんて、お店は間違っても言えません。

では機械から撮影の時だけ印鑑を外して、撮影後にもう一度機械にセットすればいいんじゃないの?・・・

と思われるかも知れませんが、印鑑彫刻機械から一旦外してしまいますと、同じようにセットしたつもりでも

誤差が生じて正しく彫る事ができません。

ですので上のような彫刻途中の写真は機械彫りでは撮れない写真です。

だから途中の写真が重要なのです。

ポイントは「途中」である事。

彫る前や彫り終えたところの写真では何の意味もありません。

では、お店に電話かメールでお願いしてみましょう。


●写真入りホームページを開設しているお店ならデジカメぐらいは持っているはずです。


●「依頼しづらい」ですか?  その① 

千円位のものでしたら確かにその通りかも知れません。

しかし、○万円という品物でしたら、写真ぐらい堂々と依頼してみましょう。


●「依頼しづらい」ですか?  その② 

心配不用です。 ネットから会話無しで高価な印鑑を受注するシステムをとっているお店であれば、

その位のお客様の要望に応える道義的義務があると私は思います。


●「怒られそうで心配です」 

心配不用です。 そこそこのホームページを持っているお店でしたら、写真サービスの存在は絶対知っているはずです。


●「写真は欲しいけど、でもやっぱり・・・」

お店を疑うとか以前に、自分の印鑑がどの様に彫られてきたのかという写真は、いい記念になると思いませんか?

このページ前半の写真をご覧下さい。

この写真は、実際のお客様からご注文いただいた手彫り印鑑の彫刻途中の写真です。

単に「手彫り」とされているハンコが届くのではなく、こういう写真も一緒に欲しいと思いませんか?

それでもやはり言いづらいでしょうか。

電話で言いづらかったらメールで依頼してみましょう。

(この写真はお客様から掲載の許可をいただきブログで紹介させていただいております)



写真が欲しいと依頼しても実際は何だかんだ理由を付けてほとんど断られてしまうと思います。

「手彫りに集中できない」

「彫っている最中に写真は撮れない」

など口実を付けて断られるのがオチです。


●「集中できない」ですか?

写真は一瞬です。

デジカメを用意しておけば、何枚か撮り直したとしても30秒~2,3分位あれば撮れます。

集中は大切ですが、肩こりしないよう程々に休憩しながら彫るのもいいのではないでしょうか。


●「彫っている最中に写真など撮れない」ですか?

さすがに手が3本ある人は居ないでしょうから、彫りながら撮るのは難しいでしょう。

でしたら一旦印刀を置いて撮ればいい事です。

「途中が重要」というのは彫刻刀を動かしている姿が重要なのではなく、途中の印面を撮るのが重要なのです。



●「時間が無い」ですか?

先程も書きましたが、写真を撮るのにそれほど時間は掛かりません。

そんな時間もない程差し迫って彫っているのでしょうか。

実印を1日十数本彫っているとかでしたら時間が無いかも知れませんが、そんな勢いで彫りますと丁寧な

手彫りはできないですよね。


●・・・まさか「写真を撮ると魂が抜ける」など時代遅れの理由を付ける人は居ないでしょう。


●「当店の方針で写真は撮らない」ですか?

漠然としすぎた返答ですね。

お店目線で考えるのではなく、高価な手彫り印鑑をご注文してくれたお客様目線で物を考えられないのでしょうか。


●「疑っているんですか?」など言われたら・・・

まさか「はいそうです」とはいえないでしょうから予め「他のお店でそのようなサービスがあるようなので記念に」

と言えばカドが立たないと思います。

それに加え、「貴店(貴方)の技術に感銘を受け・・・」など伝えればなかなか断りづらいと思います。

前述しましたが、そこそこのホームページを開設しているお店であれば、手彫りの工程写真を付けるお店が

ある事は必ず知っているはずです。

そもそも「疑っているんですか?」という回答は、私からしてみれば話を逸らして写真撮影の要望に応じない

恰好の言い訳にしか聞こえません。


●「プライドのある職人は写真を撮る事などしない」

とか言われたらもっともらしく聞こえてしまいますね。

でも、会話無しのインターネットでクリックと文字入力だけで買い物(印鑑購入)が出来てしまうサイトを

運営しているのであれば、その位の要望には耳を傾ける道義的義務があると思いませんか?

お客様側としてはどう思いますか?


●「工程写真などパフォーマンスに過ぎない」とか言われたら・・・

これももっともらしく聞こえてしまいますね。

でも冷静によく考えてみて下さい。

彫刻工程の写真を撮る事がパフォーマンスになるのでしょうか。

洒落たバーでカクテルを作る時に、ボトルやシェーカーを投げたり回転させたりして作るのは明らかに

パフォーマンスですよね。

それは極端な例としても、普段和服など着ないおそば屋さんで働く人が、お店での仕事中だけ

作務衣に着替えてそばを打つ。

「そば打ち」の事ではなく、作務衣姿で仕事をする事がある意味パフォーマンスではないでしょうか。

印章店でも普段和服など着ない人が、お店の中だけ作務衣姿になっている方は結構居る様です。

ホームページを見ても作務衣姿で篆刻台に向かっている写真が多く見られます。

揶揄する言葉としてのパフォーマンスとは、本来こういう事を差すのだと思います。

いつもと変わらず仕事をしている場面を単に撮影する事をパフォーマンスとは言いません。


●「2~3枚だけなら撮ります」と言われたら・・・

手彫り印鑑を提供している私の直感ですが、そのお店は「手仕上げ」のお店です。

2~3枚って少ないですよね?

仮に荒彫りの前半で3枚でしたら問題ないと思いますが、それにしても3枚しか撮ってくれないなんて

中途半端な引き受けです。

「手彫りに集中するから2~3枚で・・・」という言葉が付いてきそうですが、お客様が望んでいて、

しかも2~3枚撮る準備が出来るなら「最低5~6枚は撮りましょうよ」と私は言いたいですが、

仮に本当に手彫りしているのであれば、お客様の希望に2~3枚しか撮らなかったら店主さんだって引け目を感じるはずです。

いろいろ考えますと「本当は手彫りしていなから2~3枚しか撮れない」と考えるのは自然だと思います。




●「デジカメありません」と言われたら・・・

ホームページを開設しているのにデジカメ持っていないという事は、まず考えられません。

でしたらスマートフォンで撮ってもらってもいいと思います。

「プリント出来ない」と言われたら、写真のデータだけでもいただければ問題ありませんよね。


写真を撮れる環境があるのに、頑として写真撮影を断られる。

ここまで考えれば何か事情があると勘繰りたくなりませんか?

事情とはズバリ「手彫りじゃないから工程写真は撮れない」という知られたくない事情です。

高価な手彫り印鑑を注文するのであれば慎重になって下さい。

誤解しないでいただきたいのは、手彫りが望ましいですが、手彫り以外はダメだと言っている訳ではありません。

私が言いたいのは、機械彫りがいけないのではなく、虚偽表示=嘘がいけないのです。

(嘘がいけないなんて当たり前ですよね)

●「手彫り印鑑証明書(または鑑定書)があります」と言われたら。

****問題が生じると面倒なので、個別の団体・お店の事への言及ではありません事を先にお伝えします****

上に載せた様な工程写真の無い証明書はハッキリ言って何の意味もありません。

「そんな~ 何でもかんでも疑うのは良くないのではないでしょうか?」という意見もあるかと思います。

店主さんを疑いたくない気持ちはわかりますが、ここは一つ「自分がデタラメ商品を買わされる」のか「きちんとした手彫り印鑑を買う事ができた」の大切な分岐点になるので、言いづらい気持ちは封印して、写真の提供をお願いしてみましょう。

モヤモヤした気持ちがある場合はもちろん、「この店主さんなら信じられる」というお考えの人も、自分の考えを確信に変える為、写真の提供は可能かお店に問い合わせてみましょう。

予備知識として、このページをお読みいただき、お目当てのお店の対応を照らし合わせてみれば、賢明な消費者様であれば手彫りか否か判断できるのではないでしょうか。

私の考えとして、どんな言い訳があろうとも丁重に依頼する撮影を頑なに拒むお店は、「手彫りしていないから撮影できない」が答えです。

もっとも、本当に手彫りされていたとしても、それが印相体で彫られていたとしたら何の価値も無くなってしまいますので

書体の選択も十分気を付けて下さい。


最後にもう一度

手彫り印鑑をインターネットで注文する時は、必ず彫刻途中の
写真撮影を依頼しましょう。



くれぐれも、冷やかしはやめましょう。 

真剣に手彫り印鑑の依頼を検討している方のみお店に問い合わせしてみて下さい。


ブログ編集者


---------【10月5日 追伸】--------------

手彫り印鑑と宣伝しているお目当てのお店が本当に手彫りした印鑑を販売しているか、確かめる方法

<その2>

これはあくまでも確かめる目安にしかならない事と、上に書きました工程写真のように、お客様側から答えを要求

できる事ではないので、あくまでも参考としてお考え下さい。

「手彫り印鑑」と宣伝しているお店に、「本当に手彫りですか?」とは、電話ではなかなか聞きづらいものですよね。

その点については、今の時代メールという便利なものがありますので、是非メールでズバり聞いてみましょう。

お店側だってホームページという便利なもので全国に宣伝が出来ている訳ですから、メールで恐縮する

必要はありません。

この記事のURLをコピーし「このような写真もいただきたいのですが・・・」と依頼すれば、写真が必要な理由も

記事に書いてあり、お客様自身が多くを説明する必要はありません。

・・・実は、写真と違いこの話は "インチキ手彫り印鑑販売店" さんへのネタばらしになってしまうので、

本当は書きたくないのですが、そんな小さな事よりも、私は印章業界の汚点を無くしたいのであえて書いておきます。


と、少々大げさな前置きとなりましたが、話を前に戻し 「本当に手彫りですか?」と聞いてお店の人が

「ハンコは彫る方法より文字が重要なのですよ」 と言ったとします。

これを言うハンコ屋はまず手彫りしていませんね。

店主が一級技能士の資格を持ち、彫ろうと思えば彫れる腕があったとしても、普段は手彫りしていませんね。

「彫り方より字が重要・・・」というのは、ある意味その通りでもあるのですが、それはあくまでも

嘘の無い事を前提にした理屈です。

その言葉の中に明からさまな嘘はありませんが、普段から本当の手彫り印鑑を販売している私からしてみれば

すぐに嘘だとピンときます。

実はこの話、お客様から聞いた話です。

お客様からこの話を教えていただき、同じ言葉を私が過去に同業者さんから言われた事を思い出しました。

普段から手彫り印鑑を販売しているお店は「手彫りですか?」と聞かれて「ハンコは彫りより字だ」なんて

言わないものです。


私が自作したホームページで以前同様の事を書きましたが、ウナギの蒲焼を例に挙げます。

「天然ウナギ」を売り物にしているウナギ蒲焼店に行って、「これ本当に天然物ですか?」と質問し

その答えが、「ウナギは産地よりも味が重要です」 という答えが返ってきたらどう思います?

質問に対しトンチンカンな答えですよね。

決して店主自身がトンチンカンな訳ではなく、産地に触れられたくないから話を逸らしているのです。


これは前述した 「疑っているんですか?」 という回答と共通する部分があります。

まあ、「本当に手彫りですか?」と聞きにくい質問をして、「彫りより字が重要だ」と答えてくれなければ

この方法では確認できませんし、仮に印章店主さんが事前にこの記事を読んだとしたら、間違っても

今後そんな事は言わないようにする事でしょう。

「手彫りとして販売されている印鑑の99.9%は手彫りされていません」なんて私はあちこちに書いていますので

怒り心頭で、このブログを日々欠かさずチェックしている印章店主さんも結構居るのではないでしょうか。

(ちょっと調子に乗った表現で失礼しました)

ここで誤解しないでいただきたい事は、「彫りより字が重要だ」という事を言わなければ「手彫りと判断していい」

という事ではもちろんありませんので、その点は誤解の無いように。


世の中「嘘」や「ごまかし」は数多くあると思います。

皆さんそれに騙されないよう、しっかりとした考えを持っている事と思います。

大半の人は「嘘」や「ごまかし」の中で暮らしているのではなく、真っ当な生活をなさっている事だと思います。

そんな中、印章業界は残念ながら「嘘」や「ごまかし」にまみれた業界となってしまっております。

印章業界の大きな嘘 の一つは開運印鑑(印相体)で、もう一つが 嘘の手彫りです。

印章店に嘘やごまかしが多い理由は、(1)店主の罪悪感の無さ (2)素人ではなかなかハンコの詳しい事はわからない

この二つが汚点がまかり通ってしまっている理由です。

自分が職としている業界を酷評したくはありませんが、情報を公開して現状を消費者に知っていただき、

少しでも汚点を取り除ければという考えで、このブログを書いております。

業界の衰退を嘆く方は結構居らっしゃるようです。

しかし、私から見ればまず「嘘」というマイナスからゼロにする事が大前提で、プラスを望むのであれば、

そここらです。

お客様には言い伝えでも何でもない印相だの開運だのを説いて、機械で彫ったものを手彫り「風」にして販売する。

そんなマイナスいつまで続けているんですか?

まあ、同業者を挑発しても憎まれるばかりで得はしないので、程々にしなければいけませんが・・・


「ハンコは手彫りしてればいいってもんじゃないよ。  字が重要なんだよ」

これは偽装した手彫り「風」印鑑を販売している人から以前言われた言葉ですが、その言葉にここで反論します。

「文字が重要だなんてわかっています」

「文字に自信が無ければ写真を公開したりしませんよ」


----------【2015.1.26  追加更新】-----------

またまた追伸致します。

手彫り印鑑の写真を依頼し、断られてしまった場合の補足


●「写真は撮らないけど、彫っているところを見せますよ」  

こう申し出されたら、お客様側の対応は2つに分かれると思います。

①実際お店に見に行ける人

②見に行けない人

現実的に見に行ける人は、論より証拠という事で、実際に彫っているところを見させてもらいましょう。

しかし、そこで絶対に外せない工程は手彫り前半の「字入れ」と「粗彫り」は必要不可欠なので見逃せません。

間違っても 「時間が掛かるので粗彫りは済ませておきました」など言われないよう、前半を見させてもらう約束を

しておきましょう。

粗彫りが終了した状態でその後の工程を見学させてもらっても、手彫りか否かを判断できません。

という事は、せっかく見学させてもらっても (偽装か否かの判断する目的としては) 何の意味も無いという事です。


また、疑うとかは別問題としても、手彫りの工程をお客様が見学する場合は、前半が見ごたえあるはずです。

印鑑を手彫りするのは全ての工程が重要ですが、逆さ文字を印面に手書きする場面と、平らな印面を「ボリボリ」と

彫り始める場面は、手彫りを見た事無い人にとって圧巻だと思いますよ。


一方、時間や距離的な問題で「見に来ていいですよ」と言われても行けない人は・・・

最初からご自宅の所在地を明かす必要ありませんので、あたかも行ける雰囲気を醸し出す問い合わせをした方が

いいと思いますが、ちょっと無理がありますかね。

ネット上で良さそうなお店が見つかっても、距離的・時間的に見に行けない場合は残念でなりません。

でもよ~く考えてみて下さい。

お店側が 「写真は撮らないけど、手彫りしていところを見せますよ」 という言葉、どこか引っ掛かりませんか?

何かおかしくないですか?

見に来ていいのに写真は撮ってくれないんですか?

写真撮るよりお客様が横で見ている方が集中できないですよ。

それでも写真は撮ってくれず見学するのはOKなんですか?

デシカメもパソコンも到底できなそうなご老人のお店でしたらわかります。

しかし、写真入りのホームページを開設しているお店からその様な事を言われたとしたら、なにかスッキリしないと

思いませんか?

中には見本品を手彫りしている工程写真を載せているホームページも多くあります。

そんなお店でしたら、高価な手彫り印鑑を注文してくれるお客様のご要望を 「写真は撮らないけど見せるよ」 という

答えで返すのは、私からしてみれば 「こちら(お店)が指定した日時になんか、どうせ来られないだろう」 という事を

見込んでの回答としか考えられません。

日時はある程度お店に合わせなければいけませんよね。

現実問題として、行ける人と行けない人、どちらが多いと思いますか?

行けない人の方が圧倒的に多いと思いますよ。

「本当に来てしまったら、仕方なく手彫りをすればいい」

ここまで勘繰る私はひねくれ者でしょうか。


でも、しつこいようですが、見本の工程写真を掲載しているお店であれば、「見に来て下さい」などと言う前に、

「写真? いいですよ。 もしよろしければ見に来ます?」 と快諾すればお客様も喜びますし、お店側も

お客様に喜んでもらえるので嬉しいはずです。


「写真は撮れないけど見に来ていいですよ」ってよく考えるとおかしいですよね。

実際、何時間もずっとお客様が横で見ていたら、さすがに職人は気が散っていい仕事はできないです。

お客様が間近で常に彫る姿を見ている事を承るのであれば、写真を撮れる環境があるネットショップは

撮影 に応じてあげた方がよほどお客様は喜びますし、お店側も気が散らないで伸び伸びとした気分で

いい仕事ができるはずです。


昔の職人さんは手彫りしている光景は(他店さんの職人には)なかなか見せないものでした。

しかし今はインターネットが普及し、ハンコを手彫りする工程は「手彫り」と称する販売サイトでは

容易に見る事ができます。

仮にそのお店だけの秘伝があるのでしたら、秘伝だけは撮影しなければいい事です。

何度も繰り返しますが、そのお店のサイトで手彫りする工程写真を掲載しているのであれば、見に来る事はOKで

写真だけ断られるのは不自然ですし、間違っても「秘伝ですから」など言われる筋合いはないはずです。

難しい話は別として・・・

「彫るところを見せてくれるなら、写真も撮って下さいよ~ デジカメあるんでしょ?」と思いません?


★★更に★★

「手彫り印鑑」を販売しているとされているサイトの 「手彫り」 が嘘か本当かを見破る方法の参考として・・・

これはあくまでも参考に過ぎないですが、正真正銘の手彫り印鑑と、手仕上げ印鑑を販売している私にはピーン

とくる詮索方法です。

【1】 ~金額の矛盾を見破る~

そのお店で販売されている一番安い印材で、同じ印面サイズの法人用実印と個人用実印の金額を比較してみましょう。
 
(一般的なものを基準に考えます。以下同様)

個人の実印は、男性であれば漢字4文字が多く、文字数が多くても6文字位ではないでしょうか。

それに比べ、法人用の彫刻文字は、二重枠の内側、外側含め最低でも12~13文字、通常は15文字以上あるのでは

ないでしょうか。

文字の細かさは個人の実印とは大きく異なり、これを完全な手彫りをするのであれば、個人印鑑とは時間も手間も

大きく異なります。

という事は・・・

当然金額も大きく違ってくるはずですよね。

なぜ一番高価な印材で比較せず、一番安い印材で比較するのか。

それは、一番高価な印材ですと、印材そのものの金額が高価になるので、単純比較するにはなるべく印材自体の

金額を除外して考えられる安価な印材で比較した方が、「手彫り技術料」を算出できるからです。

本当に手彫りされているのであれば、手彫りの技術料に矛盾がでるはずがありません。

同じサイズ、同じ印材であっても、個人用実印と法人用実印では大きく金額が異なるはずです。

金額のからくりも、手彫りされているかされていないかを見極める参考となります。

★とはいえ、手彫りの一番の証明は(現実的なものとしては)写真です。

それ以外の事は、あくまでも「写真」を中心とした「参考」としてお考え下さい。


【2】 ~印材の彫りやすさ~

これは最初に答えを書きます。

「彫りにくい印材でいい仕事ができるはずありません」

ですから、彫りにくい印材なのに「手彫り」とされているのは疑ってみる必要があります。


しかし、こう書いてしまうと、印章店主さんから猛反発されると思います。

「彫りにくい印材でもきちんとした仕事をするのがプロだろ?」 とか

「柘植と象牙では彫りづらさが大きく変わるのも知らないのか?」 と叱られてしまいそうです。

きちんとした手彫りをしている職人であれば、彫りづらい印材ではいい仕事ができないのは当然知っているはず

ですので、真っ先に叱ってしまうのは、普段機械で彫っている人だと思いますが(笑)

まあ、挑発的な言葉はさて置き、「彫りにくい印材でいい仕事ができるはずが・・・」について

一番いい例が横目象牙です。

横目象牙とはどんな印材なのかは、一行上のリンク先をご覧下さい。

私は業界の汚点を公表し批判しておりますが、トラブル防止の為、特定のお店を狙った攻撃はなるべくしたくありません。

という事で横目象牙ですが、検索エンジンで調べたところ、扱っているお店があまりに多いので狙い撃ちにならないので

安心しました。

いえいえい、こんなに業界が荒れてしまっては安心などしていられません。

余談に花が咲かないよう話を戻しますが、横目象牙を手彫りするのは非常に難しいです。

機械彫りの場合は、印材に向かって垂直に回転した針が彫ってくれるので、それなりには彫れると思うのですが

手彫りの場合(粗彫り)は、テコの原理を使い印刀を斜めの角度で印面を「ひっかく」ような感じで彫っていきます。

印材は天然素材ですので、当たり外れはありますが、まあ彫りづらい事間違いないです。

細枠の場合など、枠を欠かしてしまう場合もあり、文字も思うように彫れません。

ここで再度 「熟練の職人なら・・・」 と言いたくなる方。

いい例えではないかも知れませんが、一流のランナーが走りにくい靴を履いて走るでしょうか。

トップクラスのテニスプレーヤーが、打ちにくいラケットを使うでしょうか。

「・・・それは道具の事でしょ?」 とあげ足をとられてしまいそうな例えですが、ボコボコのテニスコートで

一流プレーヤーが見事なプレーを見せる事ができるでしょうか。

ここで印章業界の話に戻しますが、ゴム印にも手彫りがあります。

印刀は専用の「ゴム刀」を使い、ゴム板も鋳造ゴム印とは異なる手彫りゴム印専用ゴム板を使用します。

これ、仮に鋳造用のゴム板で手彫りゴム印を彫ったらとても彫りづらいので、いくら腕のいい職人さんでも、

完全な力を発揮する事ができません。

それでは、柘植と象牙の違いは?

象牙の方が格段に硬いので、当然 柘植よりも彫るのが大変です。

しかし、横目象牙のような不規則に彫れてしまうややこしさがありませんので、硬さゆえ時間はかかりますが

いい手彫りができます。

水牛印材も同様です。

説明が長くなりましたが、横目象牙は印材として使用するべきものではないです。

手彫りなんかとても割にあいませんし、いい仕事もできません。

何よりも横目象牙はとても欠けやすい印材です。

そして細い径のものですとボディーが曲がってしまう場合もあります。

欠けやすく、時として曲がってしまう印材がいい印材のはずありません。

ただ、印材の金額は高価です。

1本の牙から印材にできる本数が少ないカットの方法で印材を作りますので、必然的に高価な印材となります。

しかし 「高価イコール高級とは限らない」 といういい例です。

簡単に言えば、「手彫り」「手仕上げ」「機械彫り」、どの彫刻方法の印鑑を注文するかは別として、横目象牙なんかは

即パスするべき印材です。

まあ、そんなものを販売しているお店は、信用問題で即パスするべきお店です。

「信用問題で即パス?」 「じゃ印相体は?」

そうですね。

印相体を扱っているお店も即パスする必要がありますが、ここは「手彫りの偽装について」ですのでその話はまた・・・


その他、圧縮印材の手彫りも怪しいです。

これはあくまでも「怪しい」というヒントにしかならない事ですが、横目象牙ほどでないにしろ圧縮印材を手彫りしている

お店も疑って掛かるべきです。

実は圧縮印材、私のお店でも扱っています。

ただ、粗彫りは機械で行う 「手仕上げ」 のみのお承りとさせていただいております。

手彫りでも彫れない事はないのですが、やはり彫りづらい印材で、いい手彫りをするというのは、無理がある事

ですので圧縮印材での手彫りはお承りしておりません。

最後に

後半は「横目象牙と圧縮印材の手彫りは疑ってみるべき」という旨を書きましたが、その二つを扱っていなければ

「本当の手彫りと考えていい」という事ではありません。

また、「同じ印材でも法人印と個人印の金額の差が大きくなければおかしい」とも書きましたが、これも 「金額に大きく

差が付いていれば手彫りと考えていい」 という訳ではありませんので、誤解の無いようお願い致します。

手彫りを確かめるのはあくまでも 「写真」 です。

それ以外の事は、あくまでもヒントです。

「写真」と「ヒント」の両方を駆使してお目当てのお店に確認してみましょう。

高価な手彫り印鑑を注文する場合は、慎重にお店を選び、堂々と写真を依頼しましょう。

開運印鑑は100%インチキ

手彫り印鑑の99.9%は手彫りされていない・・・

すると残るのは何件の印章店?

ネット上には(H27年2月3日現在で)2件しかありませんね。

----------【2015.2.26  追加更新】-----------

何度か加筆し更新しておりますので、もしかしたら既に書いた部分と重複するかも知れません。

何度も書いている「手彫り途中の写真」を依頼するコツ。

せっかく写真を依頼するのですから、断られてはもったいないです。

なるべく断られない方法、お店側からすれば断りづらい方法。

ちょっと意地悪かも知れませんが、問い合わせする際にはそのお店の個人用の印鑑で一番高いものを

検討している事にしましょう。

本当は柘の認印が必要という場合でも、問い合わせ段階では(例えば)象牙の一番高価な個人用の実印を

検討している事にしましょう。

ここまで書けば理由がわかる人も居ますよね。

完全な機械彫りを「手彫り」として販売しているサイトも多くありますが、疑いの目をもってサイト内を見れば

問い合わせする以前に機械彫りだとわかると思います。

今回試すべき販売サイトは、サイト上からでは本当に手彫りか、偽装かがわからない様なサイト、

つまり本当に手彫りしているんじゃないか?と思わせるサイトへです。

手彫りしようと思えば出来るものの、実際の注文品は機械で彫ってしまっているかも知れないというお店へです。

理由は簡単です。

一番高価な印鑑でしたら、お店の利益にもなるので、注文を断ってしまうより、少々面倒でも「今回だけは・・・」

と手彫りしてくれるかも知れないからです。

手彫りをしないと、このページにある様な写真は撮れません。

逃しては勿体ないお客様からの依頼でしたら、易々と断れません。

そこで写真の依頼を引き受けていただいた後で、柘の認印に変更して注文すればいい事です。

正式な注文前でしたら 「いろいろ考えて今回は変更しました」 と言って怒られる筋合いは無いはずです。

一旦引き受けてくれた写真撮影は 「象牙の場合は写真撮れるけど、柘植なら撮れない」 という事は無いはずですよね。

「10万円のハンコなら写真撮るけど、千円のハンコじゃ撮らない」という事なら値段の問題で納得できます。

しかし、象牙の実印と柘の認印で100倍の格差は出ませんので、その辺は遠慮せずに写真位は依頼した

方がいいと思います。

ポイントはあくまでも個人用の印鑑で高価なものです。

法人用の場合は(例外は除き)文字数が格段に多くなり、文字を書くだけで非常に苦労するので

「写真、写真と言われるなら、断ってしまおう」 という気持ちになり撮影の依頼を受けてくれない可能性もあります。


「問い合わせは最高額の印鑑で、実際に注文するのは安目の認印」というのは意地悪なやり方かも知れませんが

手彫り印鑑だと信じて高価な印鑑を注文したのに、見ていないところで機械彫りされていただなんて事がもしあったら

「意地悪かも」などお人よしな事は言っていられないはずです。



「火のない所に煙なし」

きちんとした事情があるからこそ私は「手彫り印鑑とされている印鑑の99.9%は手彫りされておりません」と

公言しているのです。


さあ、手彫り印鑑の注文を真剣に考えている方は、是非お目当てのお店に写真を依頼して下さい。

写真サービスをしていないお店からは、ほぼ全て断られるはずです。

ここでの説明は主にネットでの印鑑(印章)販売を前提に書いておりますが、もちろん実店舗での確認にも応用できます。

但し、実店舗で確認する上で重要な事は、「一部のみでは確かめられない」という点です。

それは文中に書きましたので重複しますが、実店舗で「手彫り」をうたうお店で最も多い方法は、店の奥で

機械彫りしたものを、店頭で「仕上げ」や「底さらい」をして、いかにも全て手彫りしているかの様にしている事です。

「底さらい」とは、手彫り風に加工する事です。

実店舗で注文する時も、字入れから仕上げまで1時間~数時間店内で見続ける環境が無い人は、写真を依頼しましょう。


手彫り印鑑の注文をご検討のお客様へ  (免責事項) 

当店では手彫り印鑑をご注文いただきました全てのお客様へ、彫刻途中の写真を差し上げております。

ホームページ上で紹介している写真は、写りが良いものを選んだ上でお客様のご承諾をいただき掲載

しているものです。

写真は素人撮影ですので、写り具合の悪い場合やデータの損失、またはうっかり撮り忘れも有り得ます。

(写真を差し上げるサービスを行ってから撮り忘れは一度もありません)

これらの理由により写真を差し上げられない場合でも、間違い無く手彫りを行っております。

その為、写りの悪い場合や、写真そのものが差し上げられない場合でも、返金等は出来ません事を

ご理解下さいませ。

(写真の写りの悪さ、及び差し上げられない場合差し上げられない事は免責とさせていただいております)

尚、当店の彫刻方法は「手彫り」と「手仕上げ」の彫刻方法でお承りさせていただいておりますが

写真サービスは手彫り印鑑のみとなります。




ブログ編集者 はんこの印善
プロフィール

Author:三代目印章店主
古い手彫り印鑑の印影資料を中心に印相体撲滅に向けてマイペースで記事を書きます。

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