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富くじに押された印影

前回の記事で「手仕上げについては後日書きます」としましたが、今回は手仕上げについてではなく

ちょっとした理由により富くじに押された印影を紹介させていただきます。

(富くじとは昔の宝くじの事です)



「ちょっとした理由」など勿体ぶった書き方ですみません。

まずは写真で紹介させていただきます。
 
富くじに押された手彫り印鑑
右にあるのは大きさを比べる為に置いた18ミリ天丸印鑑です。


手彫り印鑑 富くじ編
こちらは裏側ですが、ところどころ黒い線が入っているように見える箇所は虫食い跡です。

残念ですが江戸時代の富くじですから少々の事は仕方ありません。


唐草模様と印篆の手彫り印鑑 
典型的な印篆と唐草模様が彫られた見応えある素晴らしい角印です。

辺に緩やかなカーブが入っており、今では見られない形です。

こういう素晴らしい印影は何度見ても私は飽きません。

この富くじは私の好きな資料の一つですので、順次このブログで紹介させていただく予定でしたが

素晴らしい印影の紹介とともに、今回は角印の右下に朱で押されている印影と、下の印影について

説明しなければならない事情が出来てしまいました。


下の写真中央に半分だけ押されている丸型印鑑の文字についてです
富くじに押された手彫り印鑑の印影

富くじという性質上割印として押されており、印影は部分的にしか見えておりませんが、印影の中

左側に丸い空白があるのをおわかりでしょうか。

いえ、これは本題ではありませんが、こういう彫り方は今では全く無くなってしまったいわゆる

古き良き時代のかたちです。

割印ですので半分しか見えておりませんが、正反対の右側も同様になっております。

この書法については後日別の印影で紹介させていただきます。(次の記事で紹介させていただきました)

さて、余談が長くなりましたが、今回はこの上2枚の写真に朱で押されている印影の文字についてです。

(彫刻デザインは次の記事ですが、今回はデザインではなく文字の形についてです)





「自分が重要な事を伝えようと思って書いた文章でも、読み手によっては異なった意味で解釈されてしまう

事がある。」

前の記事と似た調子になりますが、こういう事はとかく有りがちですよね。

一言でいうと「誤解」の事です。

「文才が無い」という言葉で逃げるつもりはありませんが、短く伝えればいいのに長々と書いてしまう

私がいけないのでしょうか。

という今回も長い文章になってしまいました。



今回は久しぶりで「発泡崩し」について

驚きましたか。

「ウケを狙ったのですか? それとも変換ミスに気付いてないのかな?」とお思いでしょうか。

いえ、どちらでもありません。

故意に当て字にしました。

と言いますのは、当て字ではない「発泡崩し」とか「発泡テン書体」というキーワードで検索されないように

わざと当て字にしたのです。

(この先今回の記事は当て字を多用させていただきます ご了承下さい)


「発泡テン書体」というキーワードで検索している人って結構多いようです。

私が「開運印鑑というのは業者さんが考えたデタラメ印鑑なんですよ」とか

「発泡テン書体とか言われている印相体は何の言い伝えもないメチャクチャな文字なんです」と

ネット上に書いても「多勢に無勢」 

大多数の印相屋さん、印相屋モドキさん、「売れれば何でもいい」的なハンコ屋さんの声に消され

かけてしまってます。

発泡テン書体などという篆書体はありませんが、戦前まで発泡崩しという書風はありました。

私のブログを順に読んでいただいている方にはしつこくてすみませんが、発泡崩しとは

篆書体を読めないよう崩した書風であり、独立した書体ではありません。

それより開運印鑑や印相体を説明する上で最も重要な事があります。

戦前まで彫られていた本来の発泡崩しは縁起や開運とは何の関係も言い伝えもないという事です。

一般的な篆書体を「呪文のように見える」という方は居らっしゃいますが、篆書体の発泡崩しは

それよりも一段と呪文のように見えてしまいます。

「偏や旁を崩したり省画しながら文字の存在を読まれないように残す」という創意工夫された書風ですから

何かの呪文のように見えてしまうのは成り行き上当然考えられる事です。

しつこくてすみませんが、「四方発泡に広げる」という意味で発泡崩しと呼ばれましたが、

「文字で開運する」という言い伝えは一切ありません。



開運印鑑を買う目的で一番重要な事はみなさんどのように考えているのでしょうか。

絶対に開運するという科学的根拠のある印鑑を求める方など居ないと思います。

開運印鑑を信じる人でもそんな印鑑は有り得ないという事ぐらいわかっています。

開運印鑑を求める人は、「昔からの言い伝え」を信じて買うのです。

印相屋さんをはじめ多くのハンコ屋さんでは八方向に分類された円形の図があり、

方向によって●●運、▲▲運などと書かれています。

「この方向に文字を付けるのがいいんです」とか、生年月日により「■■の印材で△△です」など

あたかも昔からの言い伝えの如く説明し印鑑を販売しております。

そして「太枠はいけない」「短い印鑑はいけない」「上下のしるしは傷だ」など言われて販売されています。


でも、これらは言い伝えでも何でもなく全て商業的に創作された話だという事はご存じでしょうか。

八方向の円形図は何かの占いにあるきちんとした図なのかも知れません。

しかし、印鑑は占いの道具ではありませんし、印鑑で占うという習慣などありませんでした。


私が作った別サイトをご覧いただいた方は十分ご理解いただいているかと思いますが、

一つサイトを作ったところ閲覧いただいた方から次々質問をいただき、サイトも継ぎ足しして作成

したものですから多方面に分けて書いており、一つにまとめておりません。



そこで困った問題が起きてしまったのです。

私はブログや自作サイトで発泡崩しについて複数書いておりますが、全ての前提として

開運印鑑は全てインチキという紛れもない事実を基に書いております。

事実をありのまま書いたまでなのですが、それを読まずに検索結果から直接ブログの一記事へ

訪問いただく場合も多々あるようですので、ここで意図しない誤解が生じてしまったのです。

それぞれきちんと書いていたつもりですが、私の書き方がいけなかったのかも知れませんし

長い文章を全て読んでいただいているとも限りません。

それに、開運印鑑を信じている方にとって発泡テン書体は聖なる書体のようですので

希望的観測で印相屋さんの話を信じながら読んでいただいたのでは解釈も異なってしまうでしょう。



困ってしまった事とは・・

「発泡テン書体の言い伝えについてもう少し教えて下さい」とか

「開運印鑑の発泡テン書体の貴重な資料を是非見せて下さい」とかです。

メールですのでここで全ては公開出来ませんが、中にはこんなメールもありました。

「発泡テン書体はその後、印判秘決集によって明確に定義されそれが開運印鑑となりました」

など、どこで聞いたのか大きな間違いを私に教えてくれる方も居らっしゃいます。


ここで紹介した例は全て意見交換をし、納得していただけたので紹介させていただきましたが、

中には洗脳されてしまったかのような方からも発泡テン書体などという言葉の質問が来てしまいます。

相手の方の素性まではわかりませんので、印相屋さんからの嫌がらせなのかも知れませんが

「正しい事」「事実」をありのまま書いても、私の伝えたい内容が必ずしも正確に伝わる訳ではない

という事を改めて実感しました。



「文才が無いという言葉で逃げたくない」と書きましたが、やはり文才の無さが原因でしょうか。

本当の発泡崩しは順に紹介していきたいのですが、「開運印鑑の始まり」「元祖」などと

勘違いされては困りますのでどうやって紹介していくか迷っております。

発泡崩し関係の記事は一旦全て削除して、まとめたページを作るべきか。

その内考えて改めようと思います。




最後に余計な話かも知れませんが・・・

開運印鑑を絶対に買ってはいけない理由は、本当に開運するか否かではないのです。

上にも書きましたが、絶対開運になる印鑑など無い事は開運印鑑を求めている方もわかっています。

「開運する・しない」ではなく、言い伝えであるかの如く書かれている事は

全てデタラメだから買ってはいけないのです。


開運印鑑を買った後でいい事があったとします。

そんな偶然は靴を買った後でも帽子を買った後でも有り得る事です。

でも、靴や帽子には神秘性を感じないでしょう。

前述したように、(本当の)発泡崩しは何かの呪文のように見えてしまいます。

そこに目をつけたとある方が手相、家相、を見習って印相体と銘打って商売を始めたのでした。

「何とか読める文字か、読めないよう崩してあるか」が普通の篆書体と発泡崩しの大きな違いですが

確かに印相体は発泡崩しからヒントを得て作られたと言われています。

しかし、本当の発泡崩しと印相屋さんが語る印相体とは似ていても明確に異なる点があります。

それは文字にデタラメな言い伝えがあるか否かです。

それは開運印鑑を語る上で最も重要な事です。

手相や家相が昔から言い伝えのあるきちんとしたものなのか否かについて私は分野外ですので

正しい事は知りません。

しかし、少なくとも印章業界の「印相」というのは印鑑について昔からある言い伝えでも何でもないのです。




若い頃は開運印鑑を信じるお客様に「私が信じているんだからいいじゃないか!」

と怒られた事があります。

買い物の主人公はお客様ですので、そう言われてしまえばどうしようもありません。

でも、印相体、吉相体で彫られた印鑑は何の価値も無い印鑑なのです。

それをいい物だと信じて使わせてしまっていいのでしょうか。

印相体が流行している事は否定できない事実です。

しかし、きちんとした印章技術競技会では印相体で受賞する事は絶対ありません。

理由は単純で当たり前な事です。

書の基本を無視した変な字だからです。

篆書体に興味が無く、よくわからいというお客様は多いです。

ですので篆書体の評価は書に精通した人でなければなかなかわからない事だと思います。

でも、よくわからないからと言ってお客様を「裸の王様」にしてしまっていいのでしょうか。

裸の人が多ければ裸の王様でもいいのでしょうか。

そんな事いいはずありません。


残念な事に、きちんとした印章技術競技会で受賞した人でも開運印鑑を販売している方が居ます。

技術を宣伝しつつ、業界を汚している人が居るのは非常に残念です。

残念なついでに、その方にぜひ印相体で技術競技会に出品してもらいたいところです。

まあ、そんな事を引き受けてくれる人は絶対いないでしょうけど・・・

審査官や他の出展者から失笑され恥を晒す事になりますからね。

繰り返しますが、きちんとした印章技術競技会(篆刻も含む)では印相体での受賞は絶対あり得ません。

これが開運印鑑(印相体)がいい加減な物である証拠の一つです。




手彫り印鑑の印影を中心に紹介するブログですが、発泡崩しの印影を載せたところ

意外な反響がありましたので今回は辛口で書かせていただきました。


文責 はんこの印善












プロフィール

Author:三代目印章店主
古い手彫り印鑑の印影資料を中心に印相体撲滅に向けてマイペースで記事を書きます。

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