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実印集(實印集)

天皇陵墓印に続き、こちらも久しぶりの紹介です。

実印集(實印集) 印相体

印章資料「実印集」(實印集)です。

印相体が創作される前の印相資料は、古き良き時代の由緒正しき作風が見られるので貴重な資料となります。

実印集(實印集)

開運印鑑では「いけない」とされている太枠(中輪)や、文字と枠との間に十分空間を確保した作風や、今はあまり彫られていない

「細枠+細字」も意外とありました。

印鑑(印影)は文字の美しさや作風が命と言っても過言ではありませんので、むやみやたらに何でも大き広げればいい

というものではありません。

実印集(實印集)

真ん中の二重枠は素晴らしいですが、左右の印影もいいですね~

ブログ編集者


明治時代の角印

実務印の印章資料の宝庫、明治時代の手彫り印鑑印譜です。

明治時代の手彫り印鑑 印相体

今日はこの中から一つ。

今體派(今体派)

アップで撮り過ぎましたので、少し縮小しました。

スマートフォンからですとわからないかも知れませんが、パソコンでご覧の方にはいきなり小さな画像になっております。

印影は原寸で見るのが一番です。

縮小したとはいえ原寸ではありませんが、あまり拡大して見るのは実物と印象が違って見えてしまうのでよくありません。

切り貼りの印影の為少し歪んでしまっているのが残念ですが、作風は今体派(今體派)の流れを組んでいる様な印篆です。

「今体派? 柳葉篆とは全然違いますが、これも今体派なんですか?」と言われてしまうかも知れませんが、

今体派の中には、この様な作風もあったような気がします。

また、中国の印章にもこの様な作風の篆書体があった様な気がします。

今日は「気がします」という言葉が続いてしまいましたが、いずれ資料で説明させていただければと考えております。


ブログ編集者

三井親和の印

久しぶり過ぎる紹介となる三井親和の実物の印影です。

あまりに久しぶりですので、もしかしたら既にブログで紹介したかも知れませんが、そうだとしたら「いい物は何度見てもいい物」

と解釈して下さい。

印泥の油が滲んでおりますが、ピンボケではありません。

三井親和 

三井親和(みつい しんな 1700年~1782年)

私は神社仏閣などで古い石碑や扁額を見るのが好きですが、江戸時代のものは意外と篆書体が少ない気がします。

江戸時代の人は書を行書体や草書体で書く事が多かったのを、細井廣澤が篆書や隷書を用いる唐様を広げたと

言われていますが、三井親和はその弟子です。

弓術家としても有名だったらしいですが、三井親和の篆書は(書に篆書体が用いられる事が少ない時代に)江戸で広く親しまれ

幟(のぼり)や扁額(へんがく)は巷にあふれるほどだったとの事です。

中でも親和の筆跡を帯や手拭い、浴衣などに写す「親和染め」は大いに流行したとの事です。

これらは「江戸に旋風 三井親和の書」(信濃毎日新聞社 小松雅雄様著)を参考にさせていただいての説明ですが

現存するものがあまり無さそうなのが残念です。

実物の「親和染め」を見てみたいものですが、扁額はいくつか現存する様で、資料を頼りに私もいくつか尋ねた事があります。

(それらは以前ブログで紹介させていただきました)

親和染めも諏訪大社のお祭りに幟として見られるらしいですが、ご存じ、諏訪大社は長野県ですからね~。

そう簡単に行けないのが残念です。


ブログ編集者


細輪印篆

明治時代の手彫り印鑑印譜からの紹介を続けます。

明治時代の手彫り印鑑印譜

今回は上段右から二番目を紹介させていただきます。

明治時代の手彫り印鑑 印譜

中輪細篆書体(太枠・細字)で、文字を枠から結構離した作風です。

むやみやたらと印面一杯に広げる昨今とは違い、印としてはしっかりとした作風です。

明治時代の手彫り印鑑 印譜

印鑑はむやみやたらと大きければいいものではない事を、この素晴らしい印影で証明しております。



ブログ編集者

明治印篆

毎度似た事を書いていますが、タイトルに深い意味はありません。

引き続き明治時代の手彫り印鑑印譜より。

明治時代の手彫り印鑑印譜

先日、「ケーキの苺はいつ食べる?」(5月22日の記事)という話をさせていただきましたが

今回「苺は後半に食べる」の印影です。

上の写真からでも苺だらけなのがおわかりいただけるかと思います。

印相体が創られる前は、素晴らしい印影の宝庫だった事が、この印譜からわかります。

まとめて苺を食べてしまうのは勿体ないので、今回は一つだけの紹介です。

印相体 明治印篆

周囲にモザイクを掛けてしまって申し訳ございません。

でも、この太枠・細字(中輪細印篆)、ハンコっぽくて素敵だと思いませんか?

枠の左側中央付近に切り貼りの剥がれが生じてしまっているのが残念ですね。

用途は割印でしょうか。

どういう使われ方をしたのかまではわかりませんが、印章文化が華やかだった明治時代は、どれをとっても

素晴らしい印鑑でしたね。


ブログ編集者

大正時代の印章資料

大正8年の印章カタログです。

大正時代の印章資料 印相体

カタログ中央左端に「印章入サツク」とありますが、印章ケースは以前印章サックと呼ばれていました。

ちなみにKF印章ケース(KF印鑑ケース)も以前はKF印章サックという名前でした。

それはさて置き、カタログの上部を見て下さい。

この印影見本が印章人にとっては貴重な資料となります。

大正8年ですからもちろん印相体はまだ作られておりません。(ありません)

ここのところケーキの苺の話を持ち出しておりますが、今回は「ケーキの苺は少しずつ食べる」といったところでしょうか。

小出しで申し訳ありませんが、今回は下段左から2,3,4番目の印影を紹介。

小判型印鑑 白文 柳葉篆 朱白文相間印

パソコン向けに画像を少し小さくしましたが、スマートフォンからですと上と同じ大きさに見えるのではないかと思います。

左から白文、柳葉篆、朱白文相間印です。

どれをとっても古き時代の素晴らしいものです。

ちなみに当店ではその全てをお承りさせていただいております。

ホームページ上からのご注文体制はまだ整っておりません(一部は出来上がっておりますが)ので

ご検討されるお客様は直接お問い合わせいただけますでしょうか。


ブログ編集者

小判型牙次印

大正時代の印章カタログです。(前回の記事のカタログとは別です)

牙次印 小判型 印相体

「一寸二分丈サツク印小判丸型」と書かれていますね。

一寸二分とは約36ミリで、小判丸型とは、小判型と丸型、サツクとは印章ケースという意味ですが、上の牙次印は

形状からして36ミリの小判型牙次印ではないでしょうか。

最近やたらと使われ過ぎている言葉ですが、「古き良き時代」の伝統的ないい印鑑(印章)ですね。

牙次印 小判型

これは画像を縮小したら写りが悪くなってしまいました。

カタログ自体はこんな悪い画像ではありません。

ここでは、絵の部分は「牙次印が普通にカタログで紹介されている事」と印鑑ケース内の朱肉入れに蓋が無い事。

そして文字部分は「チャリ」(=チャリ加工された山羊革印鑑ケース)という言葉に注目して下さい。

でも、どうして山羊革と言わずにチャリ革と言うのでしょうか。

(過去にブログで書きましたが↓)

「チャリ」とは、明治時代に日本に皮革加工技術を指導したチャールス・ヘンニクル氏の名から、チャールス≒チャリで

チャリ革(茶利革)と呼ばれるようになりました。

この嘘のようなホントの話ですが、私も最初問屋さんから聞いた時失礼ながら「テキトーに創った話」だと思ってしまいました。

印相体はテキトーに創られた書体ですが、チャリ革ケースはきちんと創られた本物です。

(ここでのテキトーとは「適当」ではなく「いい加減」という意味ですが、それは文脈からわかりますよね)

ちなみに、KF印鑑ケースのチャリ革(本チャリと表示)ケースは、KF用のチャリ革を加工していた職人さんがお亡くなりに

なってしまったので、現在は製造不可能になってしまいました。  

完成したケースの在庫は少々残っておりますが、再作成が出来ませんので、貴重なケースとなってしまいました。

本チャリケース   印相体

牙次印 印相体

牙次印を入れたチャリ革ケースですが、朱肉入れに蓋がありませんね。

今はほとんどのケースで朱肉入れに蓋が付いていますが、本来は蓋が無いのが一般的だったのです。

「蓋が無くて大丈夫なの?」と心配になる方もいらっしゃるかと思いますが、心配ご不要です。

まあ、ダメだったら欠陥品として売れなくなりますしね。

ケースは開けたままにするものではなく、使用後はすみやかに閉じますよね。

それで十分なのです。

朱肉は油分が多く、揮発性の油性マジックの様にすぐ蓋をしないと乾いてしまうものでもありません。

(逆に、乾くのが遅くて困った人も多いはずです)

更に、朱肉の油分が閉じた印章ケースの中で、天然素材が乾燥し過ぎるのを防ぐ役割もあると聞いた事があります。

ただこれは印章資料に載っていない事で、話で聞いた事があるだけですので、(印材の乾燥を防ぐ話のみ)確証とは

言えない範囲でお読み下さい。


こんな一寸二分丈小判型牙付印で、チャリ革ケースに入った印鑑(印章)が欲しいという方。

当店でしたら在庫あります。

牙次印 小判型

尺貫法廃止の為、一寸二分ではなく約36ミリと表記しなくてはいけませんが、紛れもなく一寸二分丈小判型牙次印です。

しかも印鑑ケース内に貼られたシールを見て下さい。

幻の本チャリです。

そして朱肉入れに蓋はありません、 (撮影の便宜上布朱肉を入れていますが、練り朱肉でも大丈夫です)

KF本チャリケース

幻のチャリ革ケース金輪付きです。

お申し込みはこちら→牙次印小判型×36ミリ丈 からどうぞ。

【重要なお知らせ】

牙次印小判型×36ミリ丈の本チャリケースは最後の一つですが、印材は複数在庫があります。

チャリ革ケース付きの小判型牙次印36ミリが売れても、印材がある限りケースを変えて販売させていただきます。

ですので、「チャリ革ケース付き」はブログを書いた時点での話となります事をご了承下さいませ。

(商品ページの更新にご注意お願い申し上げます)

ブログ編集者



印鑑簿

大正時代の印鑑簿です。

印鑑簿

もう何度目かの紹介になりますが、これは付箋でしるしを付けておりますので、順番通り重複無しで紹介させていただいている

と思います。

印鑑簿

これには一部生年月日も書かれており、この印鑑簿自体は大正時代のものですが、江戸時代生まれの方も含まれております。

印鑑簿 八方崩し篆書体

久しぶりの紹介となりますが、これは鮮明な八方崩しですね。

ちなみに「印相体は八方崩しと呼ばれていた」と多くのサイトに書かれているようですが、それは明らかな間違いです。

印相体は開運印鑑専門の書体として昭和に創作されたもので、一方篆書体の八方崩しは江戸時代初期からありました。

印相体が創られた当初は開運印鑑の売り文句とセットで販売された経緯があり、その中で「太枠・細字」(印章用語で中輪)

はダメとあります。

この印影は太枠・細字である事は一目瞭然です。

篆書体を判読できないほど崩してしまうのが八方崩しですが、(読みにくいものの)判読出来てしまう印相体とは

由来や創られた経緯以外も根本的に異なります。

「いやいや、八方崩しをそのままじゃなくて進化させたものだから、名前も違ったのでは?」と仮定の反論に対してですが

仮に篆書体を進化させたものならば、著名な技術競技会(日展や全日本印章業協会)などで受賞作品があってもいいはず

ですが、受賞作品はただの一つもありません。

これではどう考えても進化とは言えませんよね。

まあ、印相体の説明が今回の目的ではありませんので、今日はこの辺で次の印影に・・・

印鑑簿

印面一杯に篆書体を横に字配りするこの様な作風は、江戸時代に多くありました。

印鑑簿 印相体

大抵は角ばった印篆ですので、この様な太枠・細字(中輪)の小篆風は、この時代珍しいですね。

印鑑簿 印相体

これも同じく太枠・細字(中輪)の小篆風です。

印鑑簿

数は少ないものの、特別珍しいものでもなかった個人の角印です。

もともと印篆は角印に合せて角ばった形に進化したので、篆書体に角印は適した形なのです。

印鑑簿 唐草模様 

今日の最後の印影は親子二重枠に唐草模様が丁寧に彫られた印鑑です。

やや印影はムラがありますが、他の不鮮明な印影と比べれば捺印状態は良好です。

唐草模様も強弱が丁寧に彫られており、どこからどう見ても素晴らしい印鑑です。

いつも繰り返している言葉ですが、印相体が創られる前の印鑑は素晴らしいものが大かったですね。


ブログ編集者

KF本チャリケース

今回は宣伝で申し訳ございません。

このブログで何度も登場しているチャリ革ケースです。

私の知る限り、チャリ革ケースを最近まで作成していたのはKFケースのみで、そのKFケースも今ではチャリ革ケースの

生産を終了しています。

KF本チャリケース イブシフクリン

これが今や生産を終了してしまった幻のKF本チャリ・イブシフクリンケースです。

なぜ生産を終了してしまったのかと言いますと、KFケース用のチャリ革を加工していた職人さんがお亡くなりになり、

チャリ革の在庫が無くなりましたので、KF本チャリケースの新規作成はもう出来ないのです。

チャリ革とは、山羊革を特殊加工したもので、大正時代から印章ケースに用いられている伝統的な革です。

チャリはチャーリーさん(チャールス・ヘンニクル氏)から名付けられたという、嘘のようなホントの話もブログで

紹介させていただきました。

そんなチャリ革を+イブシフクリンの希少な組み合わせのケースですが、僅かですが当店に在庫があります。

KF本チャリケース イブシフクリン 印相体

イブシフクリン(枠)

漢字表記は燻し覆輪ですが、製造元さんの仕様をそのまま表記しカタカナでイブシフクリンと呼んでいます。

燻しは赤銅メッキの事で、覆輪とは甲冑、鞍、太刀などを縁取りした飾りを指すそうです。

上の写真では枠の周りに縄状の飾りが付いているのが覆輪です。

KF本チャリケース イブシフクリン

朱肉入れに蓋はありませんが、それはKF印章ケースの標準仕様であり、ケース全体が蓋の役割をしているので

問題ありません。

(今回書いた本チャリケースの説明は、二つ前の記事にも書きましたね)

本チャリケースの在庫は複数ありますが上の写真(15ミリ×60ミリ用で、内側鶴亀に紺)の在庫は一つのみです。

これは当店で在庫している最後の1つになります。

そんな幻のKF本チャリイブシフクリンケース(15ミリ×60ミリ用 内側鶴亀+紺)のご注文はこちらへ→KF本チャリケース

後に「嘘つき」と呼ばれたくないので念のため書きますが、他の仕様の本チャリケースは複数在庫があります。

お亡くなりになったのは、チャリ革の加工をしていた職人さんで、ケース職人さんではありませんので、誤解の無いように。

他の在庫は後日改めて・・・

ブログ編集者


村長さんの印鑑

昨日の記事はKF本チャリケースにつて書くのが目的なのに、印相屋さんを激励する内容になってしまったので

文章を修正しました。

今回も明治時代の手彫り印鑑印譜からですが、タイトルそのものです。

明治時代の手彫り印鑑 

印譜は印章資料の宝庫で、特に明治時代の印譜は参考になるものが多いです。

明治時代の手彫り印鑑 印相体

角ばった印篆ばかりがいいという訳ではなく、この様な作風も優れたものです。

その文字の形が似合う作風というのも重要です。

例えば左右対称で縦線と横線が中心になる田中さんと、左右非対称の阿部さんでは、おのずと似合う作風も異なります。

明治時代の手彫り印鑑 

書体が同じで作風も同じ必要がある場合と、同じではつまらない場合があります。

いろいろと作風を変えられるのも篆書体および手仕事のいいところです。

明治時代の手彫り印鑑  印相体

篆刻調の作風もいいものですね。


ブログ編集者


手彫りゴム印

大正時代の手彫りゴム印印譜です。

手彫りゴム印 印相体

木口ももちろんですが、手彫りゴム印は端正な文字が書けなければいいゴム印が彫れません。

手彫りゴム印

書の腕以外に絵心も必要ですね。

大正時代の情緒あふれる手彫りゴム印、定規を当てての撮影ではありませんが、結構大きなゴム印です。


ブログ編集者

手彫りゴム印

前回に続き大正時代の手彫りゴム印印譜からです。

手彫りゴム印

何故かうちには手彫りゴム印の印譜は大正時代のものが多くあります。

手彫りゴム印  印相体

中輪の中央に太さを出す隷書体で、区切り線を挟んで左右に細篆書体という太細でバランスをとった、木口にもある

絶妙な手彫りゴム印です。

「田」の字の篆書体もこの時代ならではの旧式の崩し。

現代の字典ではほとんど載っていない崩しですが、江戸時代~明治時代の字典には結構載っており、当時は意外と

多く使われた形です。

手彫りゴム印

手彫りゴム印の印譜は筆耕の教科書です。

前の記事に「手彫りゴム印は端正な文字が書けなければいいゴム印が彫れません」と書きましたが、細かい説明より

これらの資料をご覧いただければおわかりいただけますよね。

手彫りゴム印  印相体

手彫りゴム印の文字を形作るのは、(判下はもちろんですが)切り回しの一発勝負。

簡単に言いますと、籠字状(文字の輪郭)に最初に切れ込みを入れた形が、最終的な印影になります。

ゴム刀(ゴム印用の彫刻刀)も切れ味が抜群でなければいけませんし、判下(文字)が中途半端ではどんなにゴム刀の

切れが良くてもいい手彫りゴム印が出来ませんので、木口同様熟練の技術が必要です。


ブログ編集者


戦前の御朱印

随分久しぶりの紹介になりますが、戦前の御朱印です。

御朱印 印相体

向かって左から

御朱印 


御朱印 印相体

丁寧に彫られた下がり藤に古印体。

古印体ですので印文は読みやすいですね。

御朱印 印相体

どっしりとした太枠に小篆風の細篆書体が素晴らしいですね。

御朱印でここまで文字が細いのは珍しいですが、枠が太いので耐久性は問題ありません。

印篆のみならず、小篆風もいいものですね。

御朱印 

ブログ編集者




藩札の印鑑

前回は久しぶりに御朱印を紹介させていただきましたが、藩札もすごく久しぶりの紹介となります。

藩札の印鑑

江戸時代の藩札には数多くの優れた印鑑が押されており、印鑑及び篆書体の作風を学ぶ貴重な資料となるはずですが

私の知る限り印章業界では、ほとんど・・・というか全く注目されていません。

これは業界批判ではありません。

単純に「どうしてなんだろう?」と考えているだけなのですが、藩札は種類が沢山あり、当店でもごくごく一部を所有しているだけ

ですので、網羅するのは無理があるからでしょう。

作風も統一したものではなく、中には首を傾げてしまう印鑑もある事は事実です。

しかし、その「首を傾げる印鑑」(不思議な作風)も含め、私は藩札の印鑑が大好きです。

正に「江戸」を感じさせる作風だからです。

話は長くなりましたが、この藩札に関する詳細は不明のまま写真を載せます。

当店には藩札のみならず、藩札に関する資料もあるのですが、調べる手間を考えますとブログの更新がままならないので

主役は印鑑(印影)という事で、藩札の詳細は不問とさせて下さい。

随分久しぶりですので、もしかしたら既に載せている藩札かも知れませんが、そうだとしたらご容赦を・・・

藩札の印鑑 印相体

印影だけでなく、絶妙な草書体も見どころです。

藩札の印鑑

龍が彫られた印鑑のようですが、印影が擦れているのが残念ですね。

藩札の印鑑 印相体

中央に本物の八方崩しが押されておりますが、左右の伝統模様も見どころです。

5月27日のブログ→江戸印篆 の記事に合わせた紹介ではなく、偶然ですが、藩札の模様と下の写真の建物の模様を見て下さい。

茨城の自然 石岡市

僅かな違いはあるようですが、模様の種類としては一緒ですよね。

の模様の名前まではわかりませんが、この「江戸の雰囲気」大好きです。

藩札の印鑑

遠目から見てもわくわくする方は、すっかり江戸印篆(←私が勝手に考えた名前です)のファンですね。

藩札の印鑑

これは大黒様のようにも見えますが、ちょっとわかりません。

今より長方形の小判型印鑑もありますね。  

全く同じではありませんが、当店にも似た形の小判型印材があります→いろいろな小判型印鑑(これの左から二番目です)

藩札の印鑑 印相体

朱印はほぼ消えかかっており、判読出来ません。

「文政五年」とありますので、今から200年近く前のものですので、仕方ありませんね。

藩札の印鑑

親子二重枠+唐草模様+印篆という三拍子揃った素晴らしい印鑑です。

藩札の印鑑 印相体

そして最後は藩札に多い畳篆(じょうてん)。

どっしりとした太枠に端正に彫られた畳篆、本当に素晴らしいです。

ブログ編集者


柳葉篆の御朱印

ずっと御朱印を紹介していなかったですが、まとめ撮りしたので紹介させていただきます。

御朱印 印相体


御朱印 

作風とは直接関係ない話ですが、この様な形ですと印章の端深くを彫り落とさなければ、押す際に写ってしまい場合があるので

端を深く彫り落とす事が大切です。

御朱印 

調べますと京都にあるお寺のようですね。

御朱印 印相体

素晴らしい笹文字柳葉篆ですね。

字配りと文字数、文字そのものの個性により作風は大きく変わります。

これは戦前の印影ですが、画像検索で調べると今も印影は同じようですね。

ブログ編集者



明治時代の手彫り印鑑

明治時代の手彫り印鑑 印譜です。

明治時代の手彫り印鑑 

印相体 印篆

端正な印篆が綺麗な角印ですね。

印相体 小判型

山型+草書体の屋号、隷書体の左右に端正な楷書体、そして形は小判型という明治情緒たっぷりの印鑑です。

明治時代の手彫り印鑑 

こちらは全て隷書体の法律事務所さんの印鑑。

明治時代の手彫り印鑑 印相体

かなり大きな印鑑ですね。

ブログ編集者


明治時代の手彫り印鑑 

明治時代の手彫り印鑑 印譜を続けます。

明治時代の手彫り印鑑 

これは印譜の中の一つですが、その最後のページです。

明治時代の手彫り印鑑 

どちらもれ隷書体で、左側は蔵書印です。


明治時代の手彫り印鑑 印相体

情緒たっぷりの山型屋号(右)と、印文からすると炭屋さんの印鑑でしょうか。

全て隷書体の、左側の作風は回り文字ですので回文(かいぶん)と言います。

今でも法人用印鑑には回文が多いですが、大きさと作風は今とは違いますね。


ブログ編集者

明治の蔵書印ほか

明治時代の手彫り印鑑印譜を続けます。

明治時代の手彫り印鑑 印相体

まとめ撮りしたので、前の記事とページが重なってしまいすみません。

明治時代の手彫り印鑑 

革屋さんの印鑑ですね。

印影とは関係ありませんが、KFケース用の本チャリ革が生産されなくなってしまい残念です。

(チャリ革そのものが無くなったのではありません)

明治時代の手彫り印鑑 印相体

今ならまずゴム印で済ますこういう様なものも、印章で作られていた事が多かったのですね。

明治時代の手彫り印鑑 印相体

篆書体の蔵書印です。

明治時代の手彫り印鑑 印相体

関防印の様な長方形をした木口印。

明治時代の手彫り印鑑 

珍しいフルネームの蔵書印(書体は隷書体です)

明治時代の手彫り印鑑  印相体

情緒あふれるお茶屋さんの印鑑ですね。

明治時代の手彫り印鑑 

回文で彫られた銀行の封緘印です。

ブログ編集者



ミクロの世界

タイトルは少々大げさに書いてしまったのであまり気にしないで下さい。

明治時代の手彫り印鑑

明治時代の印譜ですが、遠目から見てもいい印影ばかりですね。

ハンコ屋らしからぬ表現ですが、いかにも「ハンコっぽい」印影が多くあります。

印相体が創作される前の印譜はいいものが多いです。

昭和になり創作された印相体により、実務印の印章文化が破壊され、印章文化が残るのは篆刻と印章技術競技会

そして過去の印譜となってしまいました。

印相屋さんはぜひ印相体で篆刻を日展に出品してみたらどうかと思いますけど・・・

明治時代の手彫り印鑑 印相体

太枠(中輪)・細字の篆書体です。

明治時代の手彫り印鑑

印章は15ミリ角という比較的小さなものですが、文字の線は1ミリかというミクロの世界ですね。



ブログ編集者

明治時代の手彫り印鑑

明治時代の印譜が続いておりますが、今回もです。

明治時代の手彫り印鑑


明治時代の手彫り印鑑 印相体

元々四角い印章に合うようにされた篆書体である印篆。

二重の細枠が印篆の線に似合っているいい印鑑ですね。

明治時代の手彫り印鑑

白文の小判型印鑑(満白印)です。

明治時代の手彫り印鑑 印相体

二重枠の小判型印鑑です。

こちら→ 手彫り二重枠小判型印鑑 もご覧下さい。


明治時代の手彫り印鑑

本日の最後は太枠(中輪)細字のこの時代の典型的な印鑑で。


ブログ編集者

第24回 蔵書印まつりチケットプレゼント

またもや明治時代の印譜より。

蔵書印まつり

ここのところ蔵書印の紹介が続いておりましたが、秋にまた蔵書印まつりが開催されます。

第24回 蔵書印まつり。

神田神保町の印章会館で篆刻の体験が出来ます。

チケットのご用命は当店まで連絡下さい。

(チケット画像の下に当店のリンクがあります)

連絡いただきましてから、2日以内ぐらいに普通郵便で発送させていただきます。

(送料、チケット代 ともに無料です) 

数に限りがありますので、1件4枚までで、チケットが無くなり次第終了とさせていただきます事をご容赦お願いします。

第24回 蔵書印まつり 印相体

ブログ編集者

明治印譜

まだ明治時代の印譜からの紹介が続きます。

明治印譜 印相体

現在よりも印章文化が華やかだった明治時代の印譜は、印章人にとって最高の研究資料でもあります。

明治印譜 

いつもと同じ言葉になりますが、情緒豊かなハンコですよね。

年賀状にこんな印鑑を押したら「私もこんなハンコが欲しい」と言われる事もあるのではないでしょうか。

明治印譜 

龍紋に山型屋号、そして柳葉篆。

今はどれもほぼ彫られていない作風ですね。

明治印譜  印相体

明治後期の印譜である事がわかる印影です。


ブログ編集者

明治印譜

明治時代の印譜が続いて申し訳ございません。

明治時代の手彫り印鑑 


明治時代の手彫り印鑑 柳葉篆(笹文字)大篆風

小判型に柳葉篆(笹文字)+屋号という、今ではまず見ない作風ですね。

明治時代の手彫り印鑑 印相体 小判型二重枠

こちらは割印に多く用いられる形の小判型ですね。

二重枠に古風の印篆、パソコンですと拡大され過ぎなので、モニターから少々離れてご覧下さい。

明治時代の手彫り印鑑 印相体

稟議書用の印鑑でしょうか。

今ではこの様なものは、ゴム印でしか見られませんが、これも手彫り木口です。

明治時代の印鑑である事が印文からもわかりますね。


ブログ編集者

明治印譜(驚異の世界)

「いつまで明治時代の印譜を続けるのですか?」と言われてしまいそうな位続いていますね。

しかも、今回は過去に紹介させていただいた写真で申し訳ございません。

明治時代の手彫り印鑑 印相体

上段左から二番目の印影なんか、中央に印篆、左右に細篆書体で緩急が付いた絶妙の印鑑ですが、

過去写真の再紹介ですので、別の印影で申し訳ございません。

明治時代の手彫り印鑑 印相体

例によって、パソコンでご覧いただいている方は、(写真が拡大され過ぎているので)モニターから少々遠ざかって見て下さい。

龍紋(龍刻)に細篆書体ですが、紙の繊維を見て印鑑の大きさを想像してみて下さい。

明治時代の手彫り印鑑 印相体

1ミリに満たないミクロの世界ですが「細かければいい」というのではなく、きちんと彫られているのが驚愕です。

明治時代の手彫り印鑑 印相体

端正な楷書体もこの通り。

サブタイトルの「驚異の世界」の意味は説明不要ですね。

明治時代の手彫り印鑑 

細篆書体ですが、この時代に多かった独特の「折り畳み」に注目して下さい。 ↑

明治時代の手彫り印鑑 

明治時代の手彫り印鑑 

いいですね~この折り畳み。

ちなみに、向かって右側の沢山折り畳まれている文字は「中」です。


ブログ編集者

続 驚異の世界

すみません。

今回も過去の紹介から失礼します。

明治時代の手彫り印鑑 

しっかりとした太枠に独特の折り畳み細印篆で、明治時代の素晴らしさがわかる印影ですが、彫刻の細密さも驚異の世界です。

明治時代の手彫り印鑑 印相体

明治時代の手彫り印鑑 

明治時代の手彫り印鑑 印相体

細密さも驚きですが 「ハンコは大きければいい」 というものでもない事がわかる印影です。


ブログ編集者

なつめ印 ダルマ印

柘の場合はなつめ印、黒水牛の場合は挽上げ印などと言うそうですが、ではダルマ印(達磨印)は何の場合?

別名「坪付き印」とも言いますが、その区別は? と言われたら、実はなつめ印と挽上げの区別位しかわかりません。

40年以上前の東日本印判用品商工組合さんのカタログを見ても、詳しくはわからない旨書かれています。

しかし、どれも基本的な形は同じですので、ブログ及びお店のホームページでは全て同じ形状の印章を指す言葉として

使わせていただきます。

と、堅苦しい説明からとなりましたが、大正時代の印章カタログより。

ダルマ印 なつめ印 夏目印 棗印 挽上印 印相体


ダルマ印 なつめ印 夏目印 棗印 挽上印

よく法人用の印章に用いられる天丸型に似ていますが、天丸型が印章と鞘(サヤ)の二分割になるのに対し、

ダルマ印は朱肉入れ(坪)を入れて三分割になります。

天丸型とはシルエットも微妙に異なるのはおわかりでしょうか。

ダルマ印 なつめ印 夏目印 棗印 挽上印

中央は牙次印の様ですね。

ダルマ印 なつめ印 夏目印 棗印 挽上印 印相体

カタログを見ますと、夏目形の中の挽上となっていますね。

東日本印判用品商工組合さんのカタログでは挽上とはロクロの形からと推測されているようですが、その繋がりは不明です。

そんなミステリアス(?)でもある古き良き時代の印章を、真樺を圧縮(+樹脂加工)して作られた素材の

彩樺(さいか)で再現しました。

ダルマ印 なつめ印 夏目印 棗印 挽上印 印相体

写真は拡大されていますので大きく見えますが、印面の直径は12ミリ(丸型)の小さな印章です。

ダルマ印 なつめ印 夏目印 棗印 挽上印 

これ↑が印章部分です。

ダルマ印 なつめ印 夏目印 棗印 挽上印 印相体

左から印章(はんこ本体)、鞘(サヤ=キャップ)、坪(朱肉入れ)です。

圧縮印材は手彫りにあまり向かない素材ですので、手仕上げのみとなりますが、そんな古き良き時代の復刻版印章の

ご用命はこちら→彩樺 ダルマ印 12ミリ までどうぞ。

あっ、手彫り出来ない訳ではありませんので、手彫りご希望の方は別途お問い合わせ下さい。

ブログ編集者


戦前の印譜

戦前の印譜からです。

写真は撮りなおしたものですが、印影は以前にも紹介させていただいたものです。

「いい印影は何度紹介してもいい印影」という事でご了承下さい。

古い印譜 印相体

上から

古い印譜 二重枠 印篆 印相体

親子二重枠のハンコらしいしっかりとした印ですね。

印譜 笹文字 柳葉篆 大篆風

こちらはこのブログではお馴染みですが、今はほぼ彫られなくなった柳葉篆(笹文字)別名大篆風の角印です。

大篆風のみ「・・風」としていのは、学術的な大篆ではなく、あくまでも大篆風という事なので、これのみ「風」を付けています。

第24回蔵書印まつり 印相体 古印体

最後は古印体の蔵書印ですね。

古印体はお店の個性により大きく変わる場合がありますが、見て下さいこの侘び寂びを。

線の強弱と途切れが古印体の最大の特徴です。

これから「線の強弱」と「途切れ」をとってしまったら、丸ゴシック体の様な文字になってしまいますよね。

しかし実際お使いになるのは消費者様ですので、強弱や途切れを入れたくない場合はそれでも問題ありません。

本来の古印体とは、その昔銅の印章を作る際、鋳型に十分に銅が行き渡らず、不十分な文字が出来てしまった印章の

印影が風情のある書体である事に気付き、あえてそのような侘び寂びを付けた書体なのです。

本意ではありませんが、わかりやすく説明する為、画像検索で 「古印体 フォント」というキーワードで調べてみて下さい。

表示されるのは、もちろんパソコンフォントです。

しかし、これら一文字一文字をご覧になってみて下さい。

どこか一カ所途切れていますよね。

詫び寂びは文字の個性と書く人の感性により付けるものですので、必ず一文字一カ所とは限りませんが、

この侘び寂びこそ本来の古印体なのです。

話は印文に変わりますが、これは所有している本に押す蔵書印です。

素晴らしい古印体ですが、白文の篆書体で一文字蔵書印の手彫り体験が出来る場が秋にあります。

第24回蔵書印まつりが今年も秋に開催されます。

詳しくはこちらへ

★蔵書印まつりの篆刻体験は白文(白抜き文字)篆書体の一文字のみとなります。

(古印体ではありませんので、ブログの印影写真とは異なる事をご了承お願い致します)




プロフィール

Author:三代目印章店主
古い手彫り印鑑の印影資料を中心に印相体撲滅に向けてマイペースで記事を書きます。

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