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銀行印は横書き? 前編

今回は銀行口座用の印鑑についてですが、その前にまずは明治時代の手彫り印鑑を。

明治時代の手彫り印鑑 印相体吉相体はダメな書体です

明治中期~後期の印譜からです。

明治時代の手彫り印鑑 印相体

親子二重枠の認印ですね。

ごく普通に「認印」と書きましたが、「もしかすると銀行印かも知れないじゃないですか?」と言われるかも知れません。

確かに、この印の持ち主さんが認印として使っていたのか、銀行印として使っていたのかは、今となってはわかりません。

それでもなぜ「認印」と書いたのでしょうか。

それは・・・

昔の印章業界では「銀行印」というジャンルはなく、姓または名前のみの印章は一概に認印と呼ばれておりました。

もちろんお店で販売する時は 「銀行口座用」 など、そのお店ごとに工夫された説明で売られていた事でしょうし

地域的な違いもあると思います。

正式な指針がある訳ではありませんので 「絶対」 という訳ではなく、姓のみの印を「銀行印」と呼んではいけない

訳ではありませんが、今でも同業者間では姓またはお名前のみの印は「みとめ」と呼ばれています。

余談ですが、訂正印は「ボキ」です。

何故「ボキ?」・・・

ボキは簿記印という意味ですが、印材製造元さんとやりとりする場合は漢字ではなく書きやすい

カタカナで「ボキ」と書く方が多いです。

明治時代の手彫り印鑑 印相体

文章ばかりではつまらないでしょうから写真を挟みましたが、認印・銀行印についての続きです。

誤解防止の為繰り返しますが、銀行口座登録用の印章(印鑑)を銀行印と呼んではいけないという意味ではありません。

私のお店のホームページでも「銀行印・認印」として販売しています。

でも、あくまでも業界用語の主流としては認印なのです。

銀行口座に使うか認印に使うかは、購入したお客様がご自身で決める事だからです。

昔のカタログも主にその流れでした。

前置きが長くなりましたが、実はここからが本題です。

インターネットで印章が販売されるようになり、ネット上でよく言われる事の一つに

「銀行印は横がいい」

というのがあります。

これ、実は言い伝えや銀行とは全く関係なく、ハンコ屋がハンコを売る為にテキトーに考えた話だって事、知っていますか?

「ええ~っ! じゃ銀行印は横じゃいけないの?」

と早とちりしないで下さい。

昔の印鑑は篆書体や古印体は横の字配りも結構ありましたので、横ではいけないという訳ではありません。

じゃ、何がいけないの?

「いけない」とかではなく、私が言いたいのは、テキトーに考えられたうたい文句が、あたかも昔からの

伝統かの如く言われている事です。

ちなみに、日本銀行総裁之印についてもハンコ屋がテキトーに創作した話があります。

テキトーとは、もちろん 「適当」 という意味ではなく、ここでは 「いい加減」 という意味で使っています。

「銀行印は横」 じゃなくてもいい?

もちろんです。

近日中に理屈も交えてブログで説明させていただきます。

という事で、明治時代の印譜に戻り、再登場の素晴らしい印影を

明治時代の手彫り印鑑 印相体

ガッチリとした太枠に、細印篆。

毎度の事ですが、パソコンからご覧いただいている方は、モニターから離れて印影が小さく見える位置からご覧下さい。

太枠に素晴らしい細篆書体、四隅と空間のバランスも絶妙な古風の印影です。

明治時代の手彫り印鑑 印相体

明治時代の 「認印」 にしては大きなサイズです。

そう、銀行口座用に使われていたかも知れませんが、業界用語では 「認印」 です。



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Author:三代目印章店主
古い手彫り印鑑の印影資料を中心に印相体撲滅に向けてマイペースで記事を書きます。

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