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開運印鑑・印相体の疑問

相変わらず更新が滞ってしまっておりますが、特にここ最近は月に一度の更新になってしまいました。

開運印鑑を批判する上で、今回はお客様側が疑問に感じるだろうなという事をいくつかピックアップしました。

今回の資料は業界紙(誌)からです。

印相体・吉相体、フォント変換、見本 開運印鑑
(最近のものではなく、今から約30年前のものです)

「あれ?見た事あるポスターですけど・・・」    そうです。

一つ前の記事をご覧下さい。

このポスターが記事になっていますね。

業界紙という事は、一般のお客様向けではなく、印章業界=つまり巷のハンコ屋さん向けの雑誌です。

普段お客様が目にする事の無い情報に触れられる貴重な資料です。

考えてみればスポンサーは印章店、印章問屋、及び印章彫刻機械メーカーです。

ですので、印章彫刻機械の広告ページなどには印相体の見本が載ってはおりますが、

私の様に「印相体はデタラメ書体です」と露骨には書けない立場です。

しかしこの業界紙のいいところは、スポンサーの広告などで印相体は普通に紹介しているものの、開運印鑑について

ズバリ本当の事を書いている点ですね。

顧客である印章店や問屋・メーカーに気を遣い、汚点に染まってしまうのではなく、締めるところしっかり締めている

素晴らしい業界紙です。


前置きが長くなりましたが、本日のメインである「お客様側が疑問に感じるだろうなという事」

●疑問その1
開運印鑑や印相体はいい加減なものだという事はこのブログを見てわかりましたが

印相体を勧めてきたハンコ屋さんすごくいい人なんですよ。

いくらインチキ商品を売るといっても 「いかにも詐欺師」 みたいな風貌ですと商売になりません。

来店またはホームページを見たお客様をいかにして買わせるか。

「いい人」 である必要があります。

ここで上の記事からピックアップ。

印相体 吉相体 変換 プレビューフォント 印鑑

これは上の見開きページの一部で、ポスターを販売する過程の事が書かれていますが、アンダーライン部分をお読み下さい。

もう一つ

印相体 吉相体 変換 プレビューフォント 印鑑

これは業界紙ではなく再度ポスターですが、前の記事とは別バージョンです。

ポスター部分も重要ですが、今回特に見て欲しいのは、下のポスター作者の感想が書かれたアンダーライン部分です。

まあ、この二つのアンダーライン部分をお読みいただければ、私が何を伝えたいかおわかりだと思います。

印章店はお客様あってのお店です。

「印相体で彫って欲しい」 と言われて 「印相体はデタラメ書体ですよ」 なんて言ってたら、商売になりません。

実際、私はお店を経営しているのでわかるのですが、 「印相体はデタラメですよ」 と言って 「そうなんですか~」と

わかってくれるお客様はほとんど居ません。

大抵は、「何だこの店は。 印相体できないだけだろ」 とか 「じゃ他の店で頼む事にするよ」 と言われてしまうのがオチです。

それなら、印相体はいい加減な書体とわかっていても、注文を受けてしまうのが巷の印章店の実情だと思います。


もっとも、このポスターは昭和47年のものですので、今から44年前に作成されたものです。

当時の若手技術者で25歳位の人と仮定しますと25歳+44年で現在69歳。

仮に当時35歳だったとしたら今は79歳です。

この業界は高齢の方が多いですが、それでも今の中心は二代目、三代目の方となっております。

ですので、中にはハンコ屋なのに印相体の実情を知らない人や、印相体を「いい書体」と勘違いしている方も

居るのが現実です。

●疑問その2

お客様が 「印相体で彫って欲しい」 と言うなら印相体でもいいんじゃないですか?


これは私が長く説明するより、シンプルに書いた方がわかると思います。

【お店側として】    お客様を「裸の王様」にしていいのか。

【お客様側として】  ハンコ屋のカモになっていいのですか。

再度業界紙の紹介ですが、お客様側として、この現実を知っておくべきです。

印相体 吉相体 変換 プレビューフォント 印鑑
これは今から約30年位前の印章業界紙です。

いいポイントを突いてますね。

当時の「印相の第二第三」というのは今でいう吉相体またはオリジナル印相体などを指す事となるでしょう。

吉相体プレビューフォント 見本 印相体 変換

対談部分からのピックアップですが、お客様が知ったら驚愕ですよね。

買い物の主人公は当然お客様であるはずなのに、主人公はあくまでもお店側であるかの言葉です。

まあ、お客様の事を考えるよりも、自分達の生活(売上)の方が大切という本音がよく現れていると思います。

今回は沢山写真を用意しましたが、この1枚だけでも良かったかな? と思うくらい開運印鑑を販売するハンコ屋の

実態を表す適切な記事だと思います。

印章店の意向に沿う内容に折れてしまわない、素晴らしい業界紙です。

印相体・吉相体、フォント変換、見本 開運印鑑

印相体というのはあくまでもお金を稼ぐ為のアイデアなのです。

得をするのは印章店であり、お客様はあくまでも金づるです。

開運印鑑で得をするのは、売った側のハンコ屋であって、買った側のお客様ではないのです。

印相体プレビュー フォント 見本 吉相体 変換

「あなたの持っているハンコは凶相印ですよ」

「だからいい相のハンコを買うべきです」 という典型的な謳い文句の事ですが、近年は「売れれば何でも有り」という

風潮のもと、印相体は一般のお店の書体選択肢の一つになってしまいました。

印相体プレビュー フォント 見本 吉相体 変換

これはアンダーライン以外にも全ての文章が重要なキーワードとなっております。

まずは右側ですが、「印判秘決集」という江戸時代の花押の占い本が印相体(開運印鑑)の

起源になっているという嘘についての説明です。

そしてアンダーラインの「印相などあるはずが無い」という断言。

無かったのですから当然です。

そして左側ですが、江戸時代後期は記事の通り何でもかんでも「相」を付けて占いをもとにする考えが流行りました。

しかし、不思議と(印章としての)「印相」は無かったのです。

まあ、理由はアンダーライン部分をお読みいただければわかりますよね。

(注 印章とは全く関係の無い「印相」というのは仏教用語で存在します)


印相体プレビュー フォント 見本 吉相体 変換

これは印相は新しいものという説明ですね。

約30年前の業界紙ですが、この頃の印章業界では語る以前の常識です。

開運印鑑 印相体プレビュー フォント 見本 吉相体 変換

開運印鑑商法はいつから始まったかという事ですね。

約30年前の業界紙で「約20年前」という事は、昭和40年頃を指します。

私が補足しますと、印相という名称ではありませんが、印章に縁起や凶を絡めて販売する方法は昭和初期に生まれました。

そして、明確に印相という言葉は昭和初頭に創作されました。

そして印章店のビジネスとして頭角を現したのが昭和40年代初頭からです。

わかります?  開運印鑑(=印相体で彫られた印鑑)は昔からの言い伝えがある由緒正しきものではないのです。

あくまでもハンコ屋が儲ける為のビジネスグッズなのです。

「ハンコ屋のカモにされてもいい」 という考えの方なんて、まず居ないですよね。

でしたら印相体で作るべきではないのです。

●疑問その3

記事を読んでいく中で何度も印相という言葉が出てくるのに、資料の画像に開運印鑑という

言葉は一度も出てきませんが・・・

・答えその1

昭和40年代に新しい販売方法で登場した開運印鑑ですが、その当時は開運印鑑という名称はほとんど使われておらず

印相印という名前で呼ばれておりました。

そして今と違い扱うお店も限られていて、印相印を扱うお店は印相体専門のお店、普通のお店では決して扱わない

特殊な存在、それが今で言う開運印鑑=当時は印相印でした。

?? それって、もしかして秘伝だから普通のお店では彫れなかったのでしょうか? と・・・

まあ、ここまできちんと読んでいただければ、賢明な方はそんな事おっしゃらないと思いますが、

万が一にでも疑問とされてしまったら大変ですので。


洋の東西を問わず、古代の文字について世界中で様々な研究がされております。

漢字も例外ではなく、古くから多くの学者が研究してます。

篆書体の原点と言われている甲骨文字の発見は、比較的最近ですが、それでも約120年前の事です。

歴史上の文字の全てが解明されている訳ではありませんが、ありとあらゆる角度から研究されている事は

間違いありません。

(こんな事↑は偉そうに私が説明しなくても、皆様わかっていらっしゃると思いますが)

そんな中で、印相体だけが秘伝とされ、ハンコ専門の文字であるにもかかわらず、普通の印章店が彫れない書体

だったと思いますか?

しかも昭和30年頃まで世に知られなかった秘伝だったとか・・・

仮にですが、印相が秘伝だったとしたら、業界紙には秘伝としての観点で書かれているはずです。

でも、紙面は秘伝とは程遠い 「ハンコ屋がいかに儲けたか」 という事が如実に書かれております。

印相体、吉相体、フォント変換見本、開運印鑑

これは同じ業界紙の今から10年位前のものです。

秘伝ではなく「事件」と書かれていますよね。

ここで誤解しないでいただきたい事は、霊感商法でも印章は使われ、今でも数年に一度はニュースになりますが、

この業界紙に書かれている印相印問題は、霊感商法の事ではなく巷の印章店で売られている印相印が問題に

なっている事を「事件」として採りあげている事です。

まあ、「答えその1」が随分長くなりましたが、印相は秘伝でも何でもなく上に紹介してきた通り、あくまでもハンコ屋が

儲ける為に生み出された商法に過ぎないのです。

えっ? 答えがズレてます?

すみません。

答えその1・・・「開運印鑑は時代により販売方法や名前が変わってきた」のが答えです。 

由緒正しき物でしたら変わるはず無いのですが・・・


・答えその2

これは名称の事ですので、とって付けた様な理由に感じられるかも知れませんが、開運印鑑という呼び名が無かった

という点では一番明確な答えです。

このページに乗っているポスター二枚をご覧下さい。

ハンコの事を印章と呼んでいますよね。

今はハンコの事を印鑑と呼ぶ方が圧倒的に多いですが、印鑑というのは正しくは印影の事です。

ハンコは印章と呼びますが、今は巷の多くの人は印鑑と言っています。

(私もブログ上では印鑑と書いておりますが、印章業界の者として非常に違和感があります)

「アンタも印章の事を印鑑と呼んでいるなら、開運印鑑の事を言えないじゃないか!」と叱られてしまいそうですが

ここは開運印鑑と私を比べる疑問点ではなく、開運印鑑という名称はごく最近登場した、という事の説明ですので、

ご容赦下さい。

開運印鑑は印相印の事ですが、今風に「開運印鑑」と呼ばれる様になったのです。

印相印とは、その名の通り、印相体で彫られた印章の事を言います。


いつごろから呼び名が変わったの?

徐々にですので、明確な時期は何とも言えませんが、チェーン店さんが出てきてからだと思います。

また、ネット上に印章販売店が出てきてから、開運印鑑という名前が爆発的に広がりました。

***********************************

開運印鑑(印相印)はデタラメですと私が書いても、消費者様はもしかしたら「でも・・・」と心の中にモヤモヤしそうな事を

私なりのQ&Aにしてみました。

シンプルに言えば開運印鑑は全てインチキ、その一言で済むのです。

印相体はハンコを売る為に創られた書体に過ぎません。

上に書いた事と重複しますが、ハンコ屋はハンコを売って暮らしています。

1本でも多く売る為にはどうするべきか。

本来でしたらいいハンコを売って信用を上げ、そして繁盛店を目指すのが筋だと思います。

しかし、多くの印章店にとってお客様=金づるなのです。

さんざん書きましたが、印相体という書体はトンデモない書体です。  (過去のブログl記事です→印相体とは

仮にハンコ屋で印相体を勧められたら?

それは、正しい知識の無いお店か、またはお客様を単なる金づると考えているお店です。

いいハンコを持つには、正しい知識を持ちましょう。

篆書体に精通する必要はありません。

正しい物を見つける目を持ってお店を探しさえすれば、あとはお店に任せればいいハンコを持つ事が出来ます。

ブログ編集者

明治時代の印譜から

明治時代の印譜からの紹介ですが、ここのところブログの更新が出来ていなかった事と、記事は389で写真は三千枚弱。

印影以外の写真も沢山ありますが、紹介した印影に目印を付けていた訳ではないので、どの印影を紹介したのか

今ではあまりわからなくなってしまいました。

と、これは何回か書きましたね。

あたかも初めて紹介するかの如くの文章で印影を載せてしまった時の言い訳なのですが・・・・

さあ、今回はいつものように明治時代の印譜から

明治時代の手彫り印鑑

開運印鑑の話題を続けてしまったので、汚れた気持ちを癒せるのはやはり古い印影です。


明治時代の手彫り印鑑 個人角印

個人の角印ですね。

どっしりとした太枠がはんこらしさを感じさせるいい印影です。

明治時代の手彫り印鑑 二重枠

親子二重枠+細篆書体というバランスのとれた素晴らしい印影です。


明治時代の手彫り小判型印鑑 柳葉篆

このブログでお馴染の笹文字、柳葉篆です。

大篆風とも呼ばれています。

小判型+柳葉篆という古い印章ならではの素晴らしい組み合わせです。


明治時代の手彫り印鑑 小判型巴(朱白混合)

久しぶりの紹介だと思いますが、小判型巴(朱白混合)です。

明治時代の手彫り印鑑 中輪細篆書体(太枠細字)

そして明治時代のオーソドックス、太枠細字(中輪細篆書体)です。

枠から文字が離れていますね。

バランスのとれた素晴らしい印影です。

ブログ編集者
プロフィール

Author:三代目印章店主
古い手彫り印鑑の印影資料を中心に印相体撲滅に向けてマイペースで記事を書きます。

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