開運印鑑・印相体の批判を続ける理由
新年最初の記事ですので、「あけましておめでとうございます」と挨拶すべきなのでしょうが、
「連続の記事で書きます」と予告した関係で、年頭から開運印鑑の話題で失礼します
普段このブログでは戦前の印影を公開し、ありきたりの言葉ではありますが 「古き良き時代の」 印鑑を
知ってもらう事を目的として記事を書いております。
一方、何度となく開運印鑑や偽の手彫り印鑑の事も書いております。
それにしても「なぜ」何度も何度も書くのか・・・
「一度、いや多くても2~3回書けばいいんじゃないですか?」 と疑問を持つ方も居らっしゃるのではないでしょうか。
そんな何度も書くのは「なぜ?」という疑問をお持ちの方へ、今回はその理由を説明させていただきます。
まずは検索エンジンで 「開運印鑑」 または類似するキーワードで検索してみて下さい。
検索順位は日々変わりますが、どうでしょうか?
膨大な数の開運印鑑販売店が、「当店の開運印鑑こそいい印鑑」として宣伝・販売している姿が
検索結果に表示されるはずです。
では、その開運印鑑とはどの様な印鑑なのでしょうか。
下のポスターをご覧下さい。

(これは今から40年以上前のポスターで、実はこのブログでは再登場です)
どうでしょう、このポスター。
印章店向けのポスターなのに、象がハンコを踏み付けていますね。
仮にパン屋さんのポスターに、誰かがパンを踏み付けている絵が描かれていたらどう思いますか?
ハンコ屋の店頭にハンコを踏み付けているポスターなど掲示してしまっていいのでしょうか?
答えは・・・
いいのです。
ポスターでは「邪印」と書いてありますね。
邪印って?
・・・
あえて印面が見える様になっていますが、文字は印相体ですね。
これぞ印相体で彫られた開運印鑑の事です。
誤解が生じてはいけませんので別の表現をしますと、「開運印鑑の書体は全て印相体です」
また「印相体で彫られた印鑑の事を開運印鑑といいます」
え?
「私は印相体の印鑑を持っていますが、書体選択で印相体を選んだだけで開運印鑑を買ったつもりは無い」ですか?
それは、開運印鑑販売の垣根が低くなり 「何でもあり」 という状態の今だからです。
話は変わりますが、前の記事で「昔のカタログには正しい印章を知る上でいくつかのヒントが隠されております」
という事を書きました。
上の写真はカタログではなくポスターですが、この1枚にもいくつかのいいヒントがあります。
まず一つは、前述した「踏み付け」です。
印相体で彫られた印鑑は、踏み付けていいほど邪道の印鑑なのです。
もう一つは手の絵に「これが正しい印章」と書かれている事です。
その指が差しているのは、お札に押されている日本銀行「総裁之印」です。
ポスターのお札は旧一万円札ですが、今のお札にも押され(印刷)ています。
実はこの総裁之印の一部が字典に無い崩しですので、いろいろな論説がある文字なのですが、
正しいというのは文字の形とバランスの事です。
素晴らしい印篆で、バランスはそれぞれの文字及び枠との空間の事です。
総裁之印が全ての印章の唯一の頂点という訳ではありませんが、このバランスこそ正しい印章なのです。
・印相体=踏み付けられるべき存在
・総裁之印=正しい印章
ハンコを知る上で素晴らしいヒントになりますね。
もう一つ
ケースに入った印章の絵がありますが、サヤ(印面キャップ)と上下のしるしである「丹」が付いていますね。
丹(上下のしるし)については前回の記事に書いた通りです。
「サヤ」にしても「上下のしるし」にしても、多くの開運印鑑販売業者さんのホームページでは「凶印」と
宣伝されています。
この「凶印」などという販売方法こそ開運印鑑の販売方法なのです。
昔からのいい印章を悪く表現し、買い替えさせる方法で販売されたのでした。
ちょうどこのポスターが制作された昭和40年代頃からです。
「カバン持ち」と言われる無店舗販売のセールスマンが戸別訪問し 「あなたのハンコを鑑定します」という
うたい文句で、「今あなたの持っているハンコはいけないハンコです」「凶相印です」と言って開運印鑑を
販売したのでした。
それにつきましてはこちら(2013年4月3日の記事)に注意喚起のチラシがありますので、是非ご覧下さい。
その「凶印」という戸別販売を強引にしたのが霊感商法です。
反対に軽くしたのが、書体選択肢のみで印相体を選ぶのみの販売方法です。
事の強弱はありますが、霊感商法で売られている印鑑と同じもの(印相体)が巷で売られているのです。
言い過ぎ?
いえいえ、上のポスターとこの記事に書いた上のリンク先をお読みいただき、賢明な方であれば気付くはずです。
ちなみに「開運印鑑」という名称は当時あまり使われませんでした。
当時は「印相印」です。
遅くなりましたが冒頭の「なぜ」について。
ここまでお読みいただければ説明は不要だと思いますが、ここで改めてネットで「開運印鑑」と検索してみて下さい。
踏み付けられるべきである印鑑が、膨大なお店で販売されています。
これでは印章文化は崩壊してしまいます。
「なぜ」の理由はこれです。
ブログ編集者
「連続の記事で書きます」と予告した関係で、年頭から開運印鑑の話題で失礼します
普段このブログでは戦前の印影を公開し、ありきたりの言葉ではありますが 「古き良き時代の」 印鑑を
知ってもらう事を目的として記事を書いております。
一方、何度となく開運印鑑や偽の手彫り印鑑の事も書いております。
それにしても「なぜ」何度も何度も書くのか・・・
「一度、いや多くても2~3回書けばいいんじゃないですか?」 と疑問を持つ方も居らっしゃるのではないでしょうか。
そんな何度も書くのは「なぜ?」という疑問をお持ちの方へ、今回はその理由を説明させていただきます。
まずは検索エンジンで 「開運印鑑」 または類似するキーワードで検索してみて下さい。
検索順位は日々変わりますが、どうでしょうか?
膨大な数の開運印鑑販売店が、「当店の開運印鑑こそいい印鑑」として宣伝・販売している姿が
検索結果に表示されるはずです。
では、その開運印鑑とはどの様な印鑑なのでしょうか。
下のポスターをご覧下さい。

(これは今から40年以上前のポスターで、実はこのブログでは再登場です)
どうでしょう、このポスター。
印章店向けのポスターなのに、象がハンコを踏み付けていますね。
仮にパン屋さんのポスターに、誰かがパンを踏み付けている絵が描かれていたらどう思いますか?
ハンコ屋の店頭にハンコを踏み付けているポスターなど掲示してしまっていいのでしょうか?
答えは・・・
いいのです。
ポスターでは「邪印」と書いてありますね。
邪印って?
・・・
あえて印面が見える様になっていますが、文字は印相体ですね。
これぞ印相体で彫られた開運印鑑の事です。
誤解が生じてはいけませんので別の表現をしますと、「開運印鑑の書体は全て印相体です」
また「印相体で彫られた印鑑の事を開運印鑑といいます」
え?
「私は印相体の印鑑を持っていますが、書体選択で印相体を選んだだけで開運印鑑を買ったつもりは無い」ですか?
それは、開運印鑑販売の垣根が低くなり 「何でもあり」 という状態の今だからです。
話は変わりますが、前の記事で「昔のカタログには正しい印章を知る上でいくつかのヒントが隠されております」
という事を書きました。
上の写真はカタログではなくポスターですが、この1枚にもいくつかのいいヒントがあります。
まず一つは、前述した「踏み付け」です。
印相体で彫られた印鑑は、踏み付けていいほど邪道の印鑑なのです。
もう一つは手の絵に「これが正しい印章」と書かれている事です。
その指が差しているのは、お札に押されている日本銀行「総裁之印」です。
ポスターのお札は旧一万円札ですが、今のお札にも押され(印刷)ています。
実はこの総裁之印の一部が字典に無い崩しですので、いろいろな論説がある文字なのですが、
正しいというのは文字の形とバランスの事です。
素晴らしい印篆で、バランスはそれぞれの文字及び枠との空間の事です。
総裁之印が全ての印章の唯一の頂点という訳ではありませんが、このバランスこそ正しい印章なのです。
・印相体=踏み付けられるべき存在
・総裁之印=正しい印章
ハンコを知る上で素晴らしいヒントになりますね。
もう一つ
ケースに入った印章の絵がありますが、サヤ(印面キャップ)と上下のしるしである「丹」が付いていますね。
丹(上下のしるし)については前回の記事に書いた通りです。
「サヤ」にしても「上下のしるし」にしても、多くの開運印鑑販売業者さんのホームページでは「凶印」と
宣伝されています。
この「凶印」などという販売方法こそ開運印鑑の販売方法なのです。
昔からのいい印章を悪く表現し、買い替えさせる方法で販売されたのでした。
ちょうどこのポスターが制作された昭和40年代頃からです。
「カバン持ち」と言われる無店舗販売のセールスマンが戸別訪問し 「あなたのハンコを鑑定します」という
うたい文句で、「今あなたの持っているハンコはいけないハンコです」「凶相印です」と言って開運印鑑を
販売したのでした。
それにつきましてはこちら(2013年4月3日の記事)に注意喚起のチラシがありますので、是非ご覧下さい。
その「凶印」という戸別販売を強引にしたのが霊感商法です。
反対に軽くしたのが、書体選択肢のみで印相体を選ぶのみの販売方法です。
事の強弱はありますが、霊感商法で売られている印鑑と同じもの(印相体)が巷で売られているのです。
言い過ぎ?
いえいえ、上のポスターとこの記事に書いた上のリンク先をお読みいただき、賢明な方であれば気付くはずです。
ちなみに「開運印鑑」という名称は当時あまり使われませんでした。
当時は「印相印」です。
遅くなりましたが冒頭の「なぜ」について。
ここまでお読みいただければ説明は不要だと思いますが、ここで改めてネットで「開運印鑑」と検索してみて下さい。
踏み付けられるべきである印鑑が、膨大なお店で販売されています。
これでは印章文化は崩壊してしまいます。
「なぜ」の理由はこれです。
ブログ編集者