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良さ・特徴・趣 【どういいのか】

勝手気ままな方針とはいえ、明治時代の印影ばかりでうんざりしていた方も居らっしゃると思います。

このブログは古い印影を中心に公開していく方針ですが、今回は最近彫ったものを公開させていただきます。

手彫り印鑑

正真正銘の完全手彫り印鑑です。  (印章彫刻定義では「手彫り印鑑」です)

今回の記事では古い印影を載せず、最近彫った印鑑を載せたのには理由があります。

説明の前に一言 今回はお店の宣伝も混ざりますが、記事の趣旨はあくまでも「手彫り印鑑の本来の姿」

の紹介です。

多少の宣伝はご容赦願います。



「自分では当たり前だと思っていた事でも、他の人から考えれば当たり前ではない」

こんな事はよくある話ですよね。

日頃気を付けているつもりでも、他の人から言われてハッと気付く時もあります。

それが今回この記事を書いた理由です。

本当はお店のホームページに載せるつもりで彫ったものですが、まずはブログで紹介させていただきます。


「手彫り印鑑ってどこがいいんですか?」

「機械彫り印鑑と手彫り印鑑の違いって何ですか?」

という質問をいただく時がたまにあります。

そんな基本的な事は説明するまでも無いと当たり前のように考えていた私にとって意外な質問でした。

ハンコ屋の私にとって当たり前の事であっても、印鑑に馴染みが薄いお客様にとっては当然有り得る疑問

だった事に気付いていなかったのです。

(最近初めていただいた質問ではなく、インターネットで印鑑を販売してからたまにいただく質問です。)


完全手彫り印鑑

その質問の中に

「土手がいいのですか?」とか「偽造防止で手彫りにしたい」という話をよくいただきます。


1)文字や枠を土手状に彫れば確かに耐久性は増します。

2)偽造防止には同一の印鑑が複数作れてしまう機械彫りより手彫りの方がいいです。


でも、手彫り印鑑の本当の良さはそのような実務的な事ではないのです。

私の持論に過ぎないかも知れませんが、本当の良さは「優れた職人にしか彫れない素晴らしい文字」

にあるのです。

印鑑は文字が命です。

技量のある職人が丁寧に彫る素晴らしい文字が何と言っても「手彫り印鑑」の魅力なのです。

土手の耐久性や偽造予防はその副産物に過ぎません。

(私は説明以前に当たり前だと思っていたので説明を省いておりました)


ここで改めて上の写真を拡大したものを載せます。

手彫り印鑑

うまく写っていないのは撮影技術の問題ですのでご容赦願います。

また、撮影前に何回も捺印しましたので朱が滲んでおりますが、彫刻は丁寧に行っております。


この拡大写真で見ていただきたいのは、底や文字の表面ではなく、文字の側面です。

いわゆる「土手彫り」の表現で言うところの斜めになる部分です。

お気付きでしょうか。

土手状には見えませんよね。

これはもちろん「機械彫りを手彫りっぽく見せる底さらい(底彫り)をした印鑑」ではありません。

(粗彫り途中の写真をご覧下さい 機械彫りではこのような写真は撮れません 正真正銘の手彫り印鑑です)手彫り印鑑 粗彫り 手彫り印鑑の粗彫り

「本来の手彫り」と言ってしまうと異論があるかも知れませんので表現に気を付けなくてはいけませんが

「丁寧な手彫り」とはこういう彫り方をいいます。

では、土手彫りにしなくて耐久性は? と心配でしょうか。

ご心配は無用です。

柘と象牙では耐久性は格段に違ってきますが、粗悪品でなければそれなりの耐久性は

元々印材に備わっています。

もちろん柘の細枠印鑑で捺印の際、強力な力で斜め(枠が部分的に当たるよう)に押せば枠が折れてしまう

場合もあります。

しかし、例外を基準に考えるのではなく、本来の姿をもととして考えるべきです。

柘の耐久性が心配なら象牙にすればいいのです。

枠が折れてしまう心配があるならば乱暴に押さず普通に押せばいいのです。

印鑑の摩耗・欠損はまず枠からです。

枠のみ土手状にするなら問題ありませんが、過度な土手、故意な土手彫りをしてはいけないのは

文字です。

印鑑の命である文字はどうして土手彫りにしないのでしょうか。

これは職人であれば誰しもわかる事ですが、逆に職人でなければピンとこないかも知れません。

土手状にするのであれば最終工程の「仕上げ」でする事になりますが、その反面、前工程の

「粗彫り」では出来上がりの文字より随分太目の文字で粗彫りを終えなくてはいけません。

表現を変えますと、雑な粗彫りになってしまいます。

きちんとした文字を彫るには、丁寧な粗彫りが必要です。

「仕上げ」は必ずしなくてはいけませんが、文字通り「仕上げ」であって、文字の基本を形成するのは

あくまでも粗彫りです。

工程の分類上「粗」と書かれておりますが、決して雑に彫る事を意味する訳ではありません。


こう書きますと、腕自慢の技術者さんから「私は腕がいいから粗彫りを雑にしても仕上げで整えられる」

と反論されてしまいそうですが、腕がいいのであれば粗彫りを丁寧に行い、仕上げで更に整えれば

最高の手彫り印鑑が出来上がるのではないでしょうか。

目的の文字の形と大きく異なる粗彫りでは、美しく仕上げるのが大変です。

腕自慢の職人さんならば全ての工程を丁寧に彫ってこそ最高の印鑑が出来るはずです。



では、土手は無視するべきなのでしょうか。

いいえ 私はそうは書いておりません。

土手はあくまでも副産物なのです。



丁寧な手彫りは土手が少ないですが、細かい部分は深く彫れず必然的に土手状になります。

丁寧に彫られた手彫り印鑑では、印面の弱い細かい部分はそれに応じた土手になる自然の副産物が

手彫り印鑑の耐久性なのです。

これを説明せず、まず第一に「土手有りき」という誤った説明をしてはいけません。

土手の説明で最後に重要な事を

印顆(はんこそのもの)を提出する印章技術競技会では粗彫りも採点の対象になります。

粗彫りが雑にな作品は絶対に受賞しません。

土手彫りよりも粗彫りの丁寧さが重視されます。



偽造については長い説明は不要ですね。

紙に自分の名前を書いてみて下さい。

そして、転写したりせずもう一度書いてみて下さい。

これを重ねてみても全く同じにはなりませんよね。

これはハンコ屋の私が説明しなくても皆さんおわかりだと思います。

現在は機械的な複製も出来てしまうので絶対とは言いきれませんが、可能性は少なくなります。

偽造されにくい印鑑を作ることは重要な事の一つですが、これも副産物に過ぎません。



長い記事になってしまいましたが、手彫り印鑑の本当の良さとは

「優れた職人にしか彫れない素晴らしい文字」なのですが、これは説明するより

写真を見ていただいた方がいいと思いますので、最初の写真を拡大したものですがご覧下さい。

印章用PCフォントではこのような文字の趣はありません。

長い説明は不要の手彫り印鑑の良さ、味わい、趣をご覧下さい。

手彫り印鑑
論より証拠の丁寧に彫った手彫り印鑑です。

最後に宣伝で失礼します。

最高の手彫り印鑑を作る店 はんこの印善

手彫り印鑑の定義
手彫り印鑑について




文の最後にお店のURLリンクを入れて一旦記事を書き終わりましたが、手仕上げについて言及するのを

忘れていました。


★★手仕上げについては改めて書かせていただきます★★













富くじに押された印影

前回の記事で「手仕上げについては後日書きます」としましたが、今回は手仕上げについてではなく

ちょっとした理由により富くじに押された印影を紹介させていただきます。

(富くじとは昔の宝くじの事です)



「ちょっとした理由」など勿体ぶった書き方ですみません。

まずは写真で紹介させていただきます。
 
富くじに押された手彫り印鑑
右にあるのは大きさを比べる為に置いた18ミリ天丸印鑑です。


手彫り印鑑 富くじ編
こちらは裏側ですが、ところどころ黒い線が入っているように見える箇所は虫食い跡です。

残念ですが江戸時代の富くじですから少々の事は仕方ありません。


唐草模様と印篆の手彫り印鑑 
典型的な印篆と唐草模様が彫られた見応えある素晴らしい角印です。

辺に緩やかなカーブが入っており、今では見られない形です。

こういう素晴らしい印影は何度見ても私は飽きません。

この富くじは私の好きな資料の一つですので、順次このブログで紹介させていただく予定でしたが

素晴らしい印影の紹介とともに、今回は角印の右下に朱で押されている印影と、下の印影について

説明しなければならない事情が出来てしまいました。


下の写真中央に半分だけ押されている丸型印鑑の文字についてです
富くじに押された手彫り印鑑の印影

富くじという性質上割印として押されており、印影は部分的にしか見えておりませんが、印影の中

左側に丸い空白があるのをおわかりでしょうか。

いえ、これは本題ではありませんが、こういう彫り方は今では全く無くなってしまったいわゆる

古き良き時代のかたちです。

割印ですので半分しか見えておりませんが、正反対の右側も同様になっております。

この書法については後日別の印影で紹介させていただきます。(次の記事で紹介させていただきました)

さて、余談が長くなりましたが、今回はこの上2枚の写真に朱で押されている印影の文字についてです。

(彫刻デザインは次の記事ですが、今回はデザインではなく文字の形についてです)





「自分が重要な事を伝えようと思って書いた文章でも、読み手によっては異なった意味で解釈されてしまう

事がある。」

前の記事と似た調子になりますが、こういう事はとかく有りがちですよね。

一言でいうと「誤解」の事です。

「文才が無い」という言葉で逃げるつもりはありませんが、短く伝えればいいのに長々と書いてしまう

私がいけないのでしょうか。

という今回も長い文章になってしまいました。



今回は久しぶりで「発泡崩し」について

驚きましたか。

「ウケを狙ったのですか? それとも変換ミスに気付いてないのかな?」とお思いでしょうか。

いえ、どちらでもありません。

故意に当て字にしました。

と言いますのは、当て字ではない「発泡崩し」とか「発泡テン書体」というキーワードで検索されないように

わざと当て字にしたのです。

(この先今回の記事は当て字を多用させていただきます ご了承下さい)


「発泡テン書体」というキーワードで検索している人って結構多いようです。

私が「開運印鑑というのは業者さんが考えたデタラメ印鑑なんですよ」とか

「発泡テン書体とか言われている印相体は何の言い伝えもないメチャクチャな文字なんです」と

ネット上に書いても「多勢に無勢」 

大多数の印相屋さん、印相屋モドキさん、「売れれば何でもいい」的なハンコ屋さんの声に消され

かけてしまってます。

発泡テン書体などという篆書体はありませんが、戦前まで発泡崩しという書風はありました。

私のブログを順に読んでいただいている方にはしつこくてすみませんが、発泡崩しとは

篆書体を読めないよう崩した書風であり、独立した書体ではありません。

それより開運印鑑や印相体を説明する上で最も重要な事があります。

戦前まで彫られていた本来の発泡崩しは縁起や開運とは何の関係も言い伝えもないという事です。

一般的な篆書体を「呪文のように見える」という方は居らっしゃいますが、篆書体の発泡崩しは

それよりも一段と呪文のように見えてしまいます。

「偏や旁を崩したり省画しながら文字の存在を読まれないように残す」という創意工夫された書風ですから

何かの呪文のように見えてしまうのは成り行き上当然考えられる事です。

しつこくてすみませんが、「四方発泡に広げる」という意味で発泡崩しと呼ばれましたが、

「文字で開運する」という言い伝えは一切ありません。



開運印鑑を買う目的で一番重要な事はみなさんどのように考えているのでしょうか。

絶対に開運するという科学的根拠のある印鑑を求める方など居ないと思います。

開運印鑑を信じる人でもそんな印鑑は有り得ないという事ぐらいわかっています。

開運印鑑を求める人は、「昔からの言い伝え」を信じて買うのです。

印相屋さんをはじめ多くのハンコ屋さんでは八方向に分類された円形の図があり、

方向によって●●運、▲▲運などと書かれています。

「この方向に文字を付けるのがいいんです」とか、生年月日により「■■の印材で△△です」など

あたかも昔からの言い伝えの如く説明し印鑑を販売しております。

そして「太枠はいけない」「短い印鑑はいけない」「上下のしるしは傷だ」など言われて販売されています。


でも、これらは言い伝えでも何でもなく全て商業的に創作された話だという事はご存じでしょうか。

八方向の円形図は何かの占いにあるきちんとした図なのかも知れません。

しかし、印鑑は占いの道具ではありませんし、印鑑で占うという習慣などありませんでした。


私が作った別サイトをご覧いただいた方は十分ご理解いただいているかと思いますが、

一つサイトを作ったところ閲覧いただいた方から次々質問をいただき、サイトも継ぎ足しして作成

したものですから多方面に分けて書いており、一つにまとめておりません。



そこで困った問題が起きてしまったのです。

私はブログや自作サイトで発泡崩しについて複数書いておりますが、全ての前提として

開運印鑑は全てインチキという紛れもない事実を基に書いております。

事実をありのまま書いたまでなのですが、それを読まずに検索結果から直接ブログの一記事へ

訪問いただく場合も多々あるようですので、ここで意図しない誤解が生じてしまったのです。

それぞれきちんと書いていたつもりですが、私の書き方がいけなかったのかも知れませんし

長い文章を全て読んでいただいているとも限りません。

それに、開運印鑑を信じている方にとって発泡テン書体は聖なる書体のようですので

希望的観測で印相屋さんの話を信じながら読んでいただいたのでは解釈も異なってしまうでしょう。



困ってしまった事とは・・

「発泡テン書体の言い伝えについてもう少し教えて下さい」とか

「開運印鑑の発泡テン書体の貴重な資料を是非見せて下さい」とかです。

メールですのでここで全ては公開出来ませんが、中にはこんなメールもありました。

「発泡テン書体はその後、印判秘決集によって明確に定義されそれが開運印鑑となりました」

など、どこで聞いたのか大きな間違いを私に教えてくれる方も居らっしゃいます。


ここで紹介した例は全て意見交換をし、納得していただけたので紹介させていただきましたが、

中には洗脳されてしまったかのような方からも発泡テン書体などという言葉の質問が来てしまいます。

相手の方の素性まではわかりませんので、印相屋さんからの嫌がらせなのかも知れませんが

「正しい事」「事実」をありのまま書いても、私の伝えたい内容が必ずしも正確に伝わる訳ではない

という事を改めて実感しました。



「文才が無いという言葉で逃げたくない」と書きましたが、やはり文才の無さが原因でしょうか。

本当の発泡崩しは順に紹介していきたいのですが、「開運印鑑の始まり」「元祖」などと

勘違いされては困りますのでどうやって紹介していくか迷っております。

発泡崩し関係の記事は一旦全て削除して、まとめたページを作るべきか。

その内考えて改めようと思います。




最後に余計な話かも知れませんが・・・

開運印鑑を絶対に買ってはいけない理由は、本当に開運するか否かではないのです。

上にも書きましたが、絶対開運になる印鑑など無い事は開運印鑑を求めている方もわかっています。

「開運する・しない」ではなく、言い伝えであるかの如く書かれている事は

全てデタラメだから買ってはいけないのです。


開運印鑑を買った後でいい事があったとします。

そんな偶然は靴を買った後でも帽子を買った後でも有り得る事です。

でも、靴や帽子には神秘性を感じないでしょう。

前述したように、(本当の)発泡崩しは何かの呪文のように見えてしまいます。

そこに目をつけたとある方が手相、家相、を見習って印相体と銘打って商売を始めたのでした。

「何とか読める文字か、読めないよう崩してあるか」が普通の篆書体と発泡崩しの大きな違いですが

確かに印相体は発泡崩しからヒントを得て作られたと言われています。

しかし、本当の発泡崩しと印相屋さんが語る印相体とは似ていても明確に異なる点があります。

それは文字にデタラメな言い伝えがあるか否かです。

それは開運印鑑を語る上で最も重要な事です。

手相や家相が昔から言い伝えのあるきちんとしたものなのか否かについて私は分野外ですので

正しい事は知りません。

しかし、少なくとも印章業界の「印相」というのは印鑑について昔からある言い伝えでも何でもないのです。




若い頃は開運印鑑を信じるお客様に「私が信じているんだからいいじゃないか!」

と怒られた事があります。

買い物の主人公はお客様ですので、そう言われてしまえばどうしようもありません。

でも、印相体、吉相体で彫られた印鑑は何の価値も無い印鑑なのです。

それをいい物だと信じて使わせてしまっていいのでしょうか。

印相体が流行している事は否定できない事実です。

しかし、きちんとした印章技術競技会では印相体で受賞する事は絶対ありません。

理由は単純で当たり前な事です。

書の基本を無視した変な字だからです。

篆書体に興味が無く、よくわからいというお客様は多いです。

ですので篆書体の評価は書に精通した人でなければなかなかわからない事だと思います。

でも、よくわからないからと言ってお客様を「裸の王様」にしてしまっていいのでしょうか。

裸の人が多ければ裸の王様でもいいのでしょうか。

そんな事いいはずありません。


残念な事に、きちんとした印章技術競技会で受賞した人でも開運印鑑を販売している方が居ます。

技術を宣伝しつつ、業界を汚している人が居るのは非常に残念です。

残念なついでに、その方にぜひ印相体で技術競技会に出品してもらいたいところです。

まあ、そんな事を引き受けてくれる人は絶対いないでしょうけど・・・

審査官や他の出展者から失笑され恥を晒す事になりますからね。

繰り返しますが、きちんとした印章技術競技会(篆刻も含む)では印相体での受賞は絶対あり得ません。

これが開運印鑑(印相体)がいい加減な物である証拠の一つです。




手彫り印鑑の印影を中心に紹介するブログですが、発泡崩しの印影を載せたところ

意外な反響がありましたので今回は辛口で書かせていただきました。


文責 はんこの印善












昔の彫刻法

前の記事と関連した内容で書きます。

と言っても、長々と書いた開運印鑑商法の批判ではなく前の記事4つ目の写真にある印影について

「後日別の印影で紹介します」と書いた件を

今回は文字ではなく彫刻法です。

珍しい手彫り印鑑



九畳篆の印影です。

九編に折り畳まれていなくてもこれ程折り畳まれていれば九畳篆といいます。

今はまず彫られていない私が好きなタイプですが、今回の本題はこちらではありません。
明治時代の手彫り印鑑(九畳篆)

連判状になっています。

中央に黒で押されている畳篆の印影がありますが、よく見ると上とは別の印鑑のようです。

明治12年の書類ですのでまだ黒肉(墨かも知れません)で押された印影がありますが、

その左にある朱で押された印影をみていただけますでしょうか。
明治時代の連判(手彫り印鑑)
(下に拡大しました)


左から水原、平井、豆村という印文が見えますが、中央の平井さんの印影に注目して下さい。

左右に丸が二つあり、ちょっと変わってますよね。

この印影だけではどういう印鑑なのかよくわからないかも知れません。
手彫り印鑑の連判状


別の印影を用意しました。

こちらを見て下さい。

これを見れば説明不要ですよね。
今では珍しい明治時代の手彫り印鑑彫刻法


平仮名が絶妙なバランスで彫られている素晴らしい明治時代の手彫り印鑑です。

「唐からし」という印文からも時代情緒が感じられます。

(アップにし過ぎたかも知れません。)
今では珍しい手彫り印鑑



こちらは別の印影ですが、これも見応えあります。

染物商という印文も今この時代においては情緒あふれ素晴らしいです。
今では珍しい明治時代の手彫り印鑑
今では全くと言っていいほどこういう彫られ方はしませんね。

でも、印章文化が一番華やかだった明治時代にはこのような手彫り印鑑も

特段珍しいものではありませんでした。



WEBMASTER はんこの印善



唐草模様入り

唐草模様は古くから伝わる縁起模様です。

装飾品や着物など様々なところにほどこされ、中には印鑑で彫られている事もありました。


「縁起模様の彫られた印鑑という事は開運印鑑ですか?」などと安易に考えないで下さい。

文字はきちんとした篆書体です。

縁起模様が彫られた印鑑を開運印鑑と呼ぶかどうかは使っていた人が判断すればいいと思いますが、

商業的に作られた印相体が無かったいい時代のきちんとした印鑑にはきちんとした文字が使われています。

今では珍しい唐草模様入りの手彫り印鑑(明治時代)
私のお店では太枠細字のご注文が比較的多いですが、他店さんでは圧倒的に太字が多いと聞きました。

「理由は、字(自分の名)が細いと貧弱だから」というお客様の観点からだそうです。

でも、この印影を見て下さい。

枠は今は少ない太枠で、文字は太細混ざっていますが枠も含め絶妙なバランスです。

印鑑は(例外もありますが)枠を含めた全体のバランスで評価します。

「篆書体はよくわからない」というお客様が圧倒的に多いですが、単純に「細いと貧弱」と考えず

枠を含めた全体のバランスを以って考えていただく事をお勧めします。




今では珍しい唐草模様入りの明治時代の手彫り印鑑

印鑑に彫る唐草模様は太細の無いタイプもあるのですが、この印影ではきちんと

ボリュームが付いております。

日常的な注文品でも細密な技術を惜しみなく使った昔の職人さんには脱帽です。





下の写真は6月に新潟へ法事で行った際に撮ったものですが、東京在住の私にとって古い文化が残る

田舎街の風景はどこも新鮮に映ります。

地元の方にとってはどうってことない風景なのでしょうけど、唐草模様が描かれている蔵を見つけただけで

つい写真を撮ってしまいました。
唐草模様の蔵


編集者はんこの印善


珍しい書法

「明治時代は印章文化が一番華やかだった時代です」と書くと異論があるかも知れません。

密刻は現在でも主に技術競技会に出品されておりますし、篆書体の筆法も美しい書風が出てきました。

それでも私は声を大にして「明治時代が一番」と声を大にして言います。

それは、競技会の時だけではなく、お客様からの依頼品で日常的に素晴らしい印鑑を彫っていたからです。

それらの印影を徐々に紹介させていただくつもりでこのブログを書いております。

今回もそのうちの一つ

珍しい明治時代の手彫り印鑑

印影の一部が欠けてしまっていますが、篆書体と隷書体を重ねた非常に珍しい書風です。

重なっている下の文字(篆書体)は判読が難しいので、今は実印として印鑑登録はまず出来ません。


印鑑は本来、使用者と印文(名前)が異なっていても本人の証として押印されたものであれば

有効とされていた(昔)ので判読の可否は本来重要ではなかったのですが、今の印鑑登録制度では

印文が登録者の名でない場合や判読が困難な場合はまず登録出来ません。

明治時代の珍しい手彫り印鑑


編集者はんこの印善



朱文・白文

実務的な印鑑のほとんどは文字に朱肉が付くようになるタイプの朱文が使われています。

白文は落款印に使われる事が多く、印鑑登録は出来ない場合が多いですが、中には白文でも登録可能な

自治体があります。

個性的な印鑑を実印として登録する場合、作る前に各々の自治体で調べてからお作りする事をお勧めします。

(白文のみですと登録出来なくても枠があれば白文でも登録できる自治体があります)

小判型手彫り印鑑(白文)

大きさ、書体はごく普通の書体の小判型印鑑でも白文にすれば見栄えが随分変わってきますね

白文の小判型手彫り印鑑

一つひとつ印影を紹介させていただきたいので今回も切り張り画像になってしまっています。






手作り印鑑ケース、手彫り印鑑の店




絵柄

今回は紹介したい印影をセンターフォーカスにしてみました。

この印譜(印影帳)は直接押したものではなく印影を貼り付けたものですが、この印影だけ朱で

押されていないため周りをボカすと何か印刷物を貼り付けたように見えてしまいますね。

でも紛れもない手彫り印鑑です。

手彫り印鑑の印譜

何に押す為に彫られたのでしょうか。

今でしたらゴム印で代用してしまうと思いますが、これも木口(こぐち)印鑑です。

明治時代の完全手彫り印鑑

古い印譜を見るとこういういう印影も結構出てきます。

頻繁ではありませんが、決して珍しい部類とはいえない印影です。

バラエティーに富んだ実務印章全盛期である明治時代の貴重な印影です。





手作り印鑑ケース、手彫り印鑑の店




紋章入り(龍刻)

縁起模様である龍紋入りの手彫り印鑑はこのブログで何度も登場していますね。

今回は小さめな龍刻(龍が彫られている事)です。

龍紋の手彫り印鑑
右の小判型印鑑も味わいのあるいい印影です。



龍紋の手彫り印鑑

小さな印鑑、日常的な注文でも手を抜かずきちんと彫られている技術、責任ある仕事の素晴らしさは

100年以上経た今でも鮮明に残っています。




趣味的なブログですので勝手気ままに一つづつ印影を紹介していきたいのですが、せっかくここまで

見てくれている方に飽きられてしまっては残念ですので、今回はもう一つ

イニシャルでしょうか。

アルファベットの手彫り印鑑

明治時代にアルファベット?なんて不思議に思わないで下さい。

100年以上前ですが、もうこの頃は普通に使われていた時代です。

明治時代の手彫り印鑑






手作り印鑑ケース、手彫り印鑑の店




お店の印章

いつもと同様、明治時代の印影です。

これはもう説明不要ですね。

明治時代の手彫り印鑑

明治時代の粋な床屋さんの姿が目に浮かびます。

プロフィール

Author:三代目印章店主
古い手彫り印鑑の印影資料を中心に印相体撲滅に向けてマイペースで記事を書きます。

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