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巴 (2)

上手な文章が書けない言い訳を「文才が無い」などと言って逃げてしまうつもりはありませんが

一つひとつ印影を公開していくうちにどれも似たような表現になってしまってますね。


印譜(印影帳)を1ページずつ公開していけばそれなりに書く内容に変化があっていいのでしょうが

以前も書きました通り、資料には限りがありますので勝手ながら小出しで公開させていただいております。


今回は「巴」の第二段です。

巴の手彫り印鑑

印鑑証明用としては今はまず登録(自治体ごとに基準が多少異なります)できませんが、

昔も認印として使われていたようです。



大極・巴の手彫り印鑑

明治時代の印影です。

個性豊かな創作文字風古印体の巴印鑑です。

上の二つの印影は同じ職人が彫ったものですが、どちらも甲乙付け難い素晴らしいものです。

この出来栄えであれば、どちらがいいかはお客様自身の好みで判断すればいいのではないかと思います。




実は先日お客様から「貴店独自の書体はありますか?」と問い合わせがあり、その方への返答は

済んだのですが、同じお客様からとんでもないハンコ屋の話を聞かされたので

口の悪いわたくしの本領を発揮?して、一つ辛口の批判を



「創作文字の賛否について」

職人の創作文字は有りか。

あくまでも私見ですが、答えを先に書きますと、ある条件を満たせば「有り」です。

その条件とは当然あるべき必須条件なのですが、今の印章業界ではどうも軽視されがちな必須条件です。

廻りくどい表現になってしまいましたが、その条件とは「基本技術」です。


基本が出来ていなければ応用も創作も無意味です。

「なぜ? 買う本人がその字を気に入ればいいんじゃない?」と反発する人も居るとは思います。

印鑑を買うのは、自分で買う物が気に入れば、その職人の中身までは気にしなくても使用上は

問題ないですよね。

それでも私は基本が出来ていない職人の創作文字は「NO」と言います。

基本が出来た上での創作文字は「技術の応用」です。

しかし、基本が出来ていない人が創作文字で印鑑を作った物は単なる「技術からの逃げ」

に過ぎないからです。

創作文字の印鑑は例え素晴らしい出来栄えであっても技術競技会では通用しないものです。

言い換えれば、そのお店でしか通用しない書体です。

そのお店でしか通用しない書体であるならば、きちんとした技術をもった職人が彫ってこそ

価値が生まれてくるものだと思います。


「?買う本人が気に入ればいいという考えに反論した答えになっていない」 ですか?

でははっきり書きますが、基本が出来ていない人が彫った創作文字は単なる変な文字です。

文字を「オリジナル」「革新的」と称して変形させている印相屋さんもいますが、技術者から見れば単なる

「技術が無い言い訳」です。

技術の無い人が同じ土俵で戦っても勝てる訳がありませんので奇抜な路線に活路を求めた結果

オリジナルの道に走ったのです。

技術が無い人の創作文字は単刀直入に言って変です。

技術の無い人が楷書体を創作風にしてしまったら、変である事がバレてしまいます。

そこで、篆書体という一般の方があまりなじみの無い書体を創作風にしているのです。

これに当店オリジナルの「ナントカ篆書体」とか名付けてウンチクを語れば信じてしまう人も

居るかも知れません。



創作文字というのは何も印鑑だけではなく、むしろ書の方が多いのではないかと思います。

創作文字にあまり興味の無い私は実情を正確には知りませんが、書の創作文字作品を作っている

人達はきちんと「基本技術」が出来ているのではないかと思っております。

もちろん一部には基本も出来ずに創作の道に走った書家も居るかも知れませんが、

ごまかしのきかない「手書き」では基本が出来ていないと実力がそのまま作品に反映されてしまいます。

それと、例えば街中で実演販売されている創作書道は常用漢字を基本としたものです。

篆書体と違い一般の人でも上手か下手かはわかりますので、実力をごまかせないと思います。

あと、こんなの有りかはわかりませんが実演で創作書道を販売していたとしたら、お客様から(仮に)

「楷書体で書いて下さい」などといわれて書いてみたら「お客様より下手だった」なんて事では

洒落にもなりません。


それに比べ、印鑑の創作文字はごまかしがききます。

印相体一筋でやっているお店は話にもなりません。

篆書体を見るも無残にグチャグチャにして、「これが当店のオリジナル印相体です」だなんて素人である

お客様を騙す悪徳商法です。


印相体というのは、篆書体を変な風に変形させたもので「書」としての価値はゼロです。

私の言葉を信用出来なければハンコ屋と無縁の書家や書の専門店に聞いてみて下さい。

無価値な書体ですので、篆書体に詳しいお客様は印相体で印鑑を作ったりは絶対しません。

つまり、印相体で印鑑を注文するのは篆書体を知らない素人さんばかりなのです。

ここで誤解しないでいただきたいのは、お客様の大半は素人です。

私は間違っても「篆書体を知らない素人さんは印鑑を作ってはいけない」とか

「印鑑を注文する前に篆書体を勉強するべき」などと言っているのではありません。

素人を騙す印相屋がいけないのです。


話が大きく逸れましたが、印相体一筋で商売しているハンコ屋さん(俗称:印相屋といいます)、

「当店オリジナル書体」などと言って文字を冒涜した印相体の印鑑を販売しているお店に面白いチャレンジを

してみてはいかがでしょうか。

「貴店で楷書体の印鑑を彫っていただきたいのですが…」と言ってみましょう。(1)

上手下手の基準が無い「印相体」や一般には馴染みの薄い「篆書体」ではいけません。


手彫りを強調しているお店ならついでに

「字入れしている途中、荒彫りしている途中の写真を撮っていただけますか?」(2)

あくまでも「途中」というごまかしのきかないところがポイントです。

(1)と(2)を引き受けてくれて、出来上がった印鑑と写真に問題がなかったら、技術には問題無い

のではないでしょうか。

(もちろんこれだけで技量を図れる訳ではありませんが)


(1)に対して「楷書体は○○でよくないから当店では印相体しか承れません」などという返答があったら

それはこう解釈すればいいと思います。

「楷書体はごまかしが出来ない書体ですので、当店は印相体しか承れません」で間違いありません。


(2)に対して「荒彫りの一部のみ機械を使っております」という返答がきたら

「コンピューター連動彫刻機械を使用しており、ほぼ全てを機械で彫っています」です。

そもそも、一部でも機械を使って彫った印鑑は手彫り印鑑と表現してはいけない決まりとなっています。


また、単に「当店では作業途中の写真撮影はお引き受けできません」という返答の場合

「外注任せ」または「手彫りは嘘」のどちらかがほとんどだと思います。

写真を撮らない=即「嘘」とは強引過ぎます。

この業界には高齢の職人さんが大勢居ますので、撮影する環境、状況ではない場合だってあります。

しかし、ブログ等で記事に商品や印影を載せ更新しているお店でしたら彫刻途中の写真をサービスで

お客様に差し上げる事など負担にならないはずです。

むしろ、喜ばれて再度の注文に繋がるかもしれない、いい事だと思います。


「創作文字は有りか」という事から脱線してしまいましたが、私の知り合いの同業者さんでも

創作文字で彫っている職人さんが何人か居ます。

その方達は素晴らしい技術を基にした創作文字ですので、ここでの批判にはもちろん該当しません。


インターネットの普及により、実際にお店へ足を運ばなくても自宅のパソコンからいろいろと情報を得る事が

できる便利な世の中になりました。

しかし、便利は同時にペテン師にも便利となってしまったのです。

国(公正取引委員会)の勧告により全日本印章業組合連合会が定義した手彫りの定義を

「印章組合が勝手に決めた事」 「組合に加盟していない当店はこれを手彫りと言っています」

などと言って機械で彫刻したものを「手彫り」として販売しているお店も多々あるらしいです。

そんなペテン師ハンコ屋に騙されない為には賢明な眼力が必要です。

では、どうすればペテン師とそうでないハンコ屋の違いがわかるか?

それは上に書いた(1)と(2)を尋ねてみて下さい。

もう少し詳しく調べるにはこれ→開運印鑑Q&Aからいくつかピックアップして質問してみて下さい。

直接では聞きづらいですか?

なら今はインターネットという便利なものがありますので、フリーメールなどで質問してみればいいと思います。

ペテン師は口は達者なはずですので気を抜かないで下さい。

でも、偽者は必ずボロが出てくるはずです。




★ハンコ屋としては悲しい事ですが、今の印章業界にはペテン師が大勢居ます。
 
 ハンコ屋の私が見ればペテン師は一目瞭然でわかるのですが、一般の方は「開運」「嘘の手彫り」という

 印章業界の二大汚点を見つける事はなかなかできないと思います。

 しかし、「希望的観測」を持たずにいくつか質問してみれば、ペテン師のボロが見つけられると思います。

 印相屋さん情報を私に教えてくれた某お客様は、手彫り印鑑と称し荒唐無稽ブログを随時更新している

 ペテン師印相屋さんへ単刀直入に「貴店は完全手彫りですか?」とメールで質問したら、爆笑するような

 言い訳が返ってきたと教えてくれました。

 爆笑の内容を私は聞きましたが、ここで書くとわかってしまうので内緒にしておきます。

 
 
例え事実であろうと他店さんの悪口を書く事は、読んで下さる方の気分を害してしまうかも知れません。

しかし、印章業界には深刻な二つの汚点があります。

この汚点を公開していく事が、私の使命だと思っております。

何か偉そうな事を書いてしまいましたが、ペテン師による嘘デタラメがまかり通ってしまっている

腐った印章業界を立て直すには、批判を受けても一人くらい正しい事を知らせていく人間が必要だと

思っております。

繰り返しますが、私自身は批判されても構わないです。

それが印章業界の汚点を少しでも小さく出来るのであれば。




変体仮名丸型印・篆書体小判型印鑑【明治時代の印譜より】

先日に続き変体仮名です。
パソコンで文字の変換を間違えると意味が大きく変わってしまいますので
注意しなくてはいけません。

変体仮名の手彫り印鑑


画像の上に一部だけ写っているのは小判型印鑑です。
小判型手彫り印鑑

私の大好きな折り畳みの多い典型的な明治時代の篆書体です。

楷書体と巴

小さな印影を大きな画像で紹介するのは違和感が生じてしまいますので
あまりすべきではないかと考えておりますが、印影同士が近くにありますので
ちょっとづつ掲載しようとすると、どうしても一つひとつは拡大画像になってしまいます。
楷書体と巴を並べて掲載したのも印影同士が寄って押されているからで、他意はありません。

巴・楷書体の手彫り印鑑



開運印鑑について
文責 はんこの印善

太枠・重辺

堂々たる太枠(二重枠)に明治時代の典型的な印篆の手彫り印鑑です。
細篆書とのコントラストが見事です。
今は細枠太字全盛ですが、こういう昔ながらの書風も今では逆に個性があっていいと私は思います。

太枠細字の手彫り印鑑



文責 はんこの印善

開運印鑑について
プロフィール

Author:三代目印章店主
古い手彫り印鑑の印影資料を中心に印相体撲滅に向けてマイペースで記事を書きます。

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